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第7話
呼び出し音は鳴り続けているが、電話は繋がらない。
あきらめて携帯電話をしまうと、駅前のコンビニに入った。
今日の葵のシフトは遅番だった気がする。だとするならば、まだ仕事をしているか、帰宅途中なのかもしれない。
家に帰っていないのなら駅で待ち合わせてもいいかと思ったのだが、葵は電話に出なかった。
……もしかして、誰か他のやつと一緒にいたりして……
「………まさか、な」
葵に限って、そんなことはないだろう。
あいつ、二股できるほど器用じゃないし……この前会ったときもそんな素振りは見られなかったし……さっさとケーキ買って、葵の家に行こう。
別に、不安なわけじゃないぞ!早く会いたくて急いでるんじゃなくて、寒いからだから!
入口からまっすぐの、弁当コーナーの向かい側。デザートコーナーには、ずらりとケーキが並んでいた。
今どきのコンビニはあなどれない。いろんな種類のケーキが……それこそホールケーキから一人用のカップに入ったケーキまで、選ぶのに困るくらい並んでいる。
見た目のインパクトがあるのはホールケーキだろうけれど、二人で食べるにはちょっと大きすぎる……それに、葵も自分でケーキを用意している可能性もあるしな。
だとすると、こっちの小さなケーキにしておくか。
二個目のケーキになってもこのくらいなら食べれるだろうし。もし、他に買ってなかったとしても、別に俺はケーキぐらい食べなくたって平気だし。
それにイチゴののったショートケーキは、何だか葵にぴったりだと思うんだ。
小さなケーキの入ったケースを一つ手にとって顔を上げると…
「───あ」
デザートコーナーの棚の上に、何だか懐かしいものを見つけてしまった。
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