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第13話
「そういえば今日ね、職場で飲みに誘われたよ?」
「へー……忘年会か何かか?」
「うーん……イブに二人で飲むのは、忘年会になるのかなー……」
「は?お前、クリスマスの夜にデートに誘われたのか?」
「え?デートじゃないよ?だって三枝君、男の子だもん」
「それをいったら、俺だって男だしっ。つーか、何そいつ……どんなヤツだよ!?」
「えー?大学生のバイト君で……イケメン君だよ?何かねー……見た目は怖そうだし、ちょっとツンツンしたところもあるんだけど、僕にはとっても優しくしてくれるんだよね」
「………………」
「バイトの女の子たちにも人気があるのに、何でクリスマスはひとりだったのかなあ?不思議だよねー」
「………………」
「あ、僕も恋人がいない仲間だと思ったのかな?だからなぐさめ合おうって思ったのかも!」
「…………もういい」
「え?」
「もういい!葵っ、お前今日から、三枝ってヤツと二人きりになるの禁止だからな!」
「えぇ!?何で!?同じ職場でそんなの無理だよ!」
「うるさい!つーか、そいつのいる飲み会も食事会も禁止!お前はいいから、ずっと俺の横にいろ!!」
「っ!!!………………うん……ずっと横にいる…」
「……………ほら、ぎゅってしてやるからもっとこっちに来い」
「うん!………ふふ…あったかい……」
「………………」
「………………」
「…………葵?」
「………………」
「…………あーおーいー……」
「………………」
「…………おやすみ、葵……メリークリスマス……」
end
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