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第19話

僕たちがお風呂から上がるのと交代で、先輩がお風呂に入りに行った。 和室に3人になると何だか落ち着かない。だって何だか二人のお邪魔みたいで……僕、席を外した方がいい気がする。 まだ外も明るいし、ちょっと散策でもしてこようかな… 「悠希君」 「ん?どうしたの?葵君」 長谷川さんの横でにこにこと、宿が準備をしてくれた茶請けのお菓子を食べていた悠希君は、こちらを見て尋ねた。 「僕、ちょっと外に出るね。先輩が戻ってきたら、散歩に行ってるって伝えてくれる?」 ここに来るまでの間に通った庭はとっても広くて、よく手入れがされていた。ちょっと散策するだけでもいろんなものが見られるだろうし、いい時間つぶしになると思う。 それに、庭や母屋も浴衣で出歩いてもいいという話だったし。 「散歩?」 すると、悠希君はぱっと目を輝かせて「僕も行く!」と、立ち上がった。 「お庭、広かったもんね!僕も一緒に見たい!」 「えっ、でも、それはちょっと……申し訳ないし……」 ちらりと悠希君の横に座っている長谷川さんを見る。せっかく二人っきりにしてあげようと思ったのに、悠希君が僕についてきちゃったら……ねえ。 すると長谷川さんは、僕を見てにっこり笑いながら「いってらっしゃい」と言ってくれた。 「ほら!行こう!」 悠希君はぱっと立ち上がると、僕の手を引いて玄関へ引っ張る。 「あ、あのっ。じゃあ、いってきます」 「いってきまーす!」 元気よく挨拶をした悠希君は「田中さんとケンカしたらダメだからねー!」と一言。 長谷川さんは楽しそうに声を上げて笑うと… 「努力します」 そう言って、片手を上げて手を振ってくれた。

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