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第38話

「……あっ」 皮膚に跡がつかない程度に軽く甘噛みをすると、葵の口唇からこぼれる少し高めの甘い声。 自分で出した声なのによほど恥ずかしかったのか、ぴくりと身体を震わせてさっきよりもさらに顔を赤くしている。どうせ行為に夢中になってしまえば、何を口走っているのか自分では分からくなってしまうくせにな。 「恥ずかしいのか?自分の声が」 首筋から耳もとへと顔を動かして、囁くように尋ねてやると、こくりと頷いた。 「そうか………じゃあ、声が出ないように塞いでやるよ」 「へ?………あっ………んんっ………」 少し開いていた口唇に噛みつくようにキスをすると、その隙間から舌を押し込む。 ちょっと強引すぎたかなと思いながらしたキスだったが、心配はいらなかった。葵の少し厚みのある舌は奥に逃げるどころか、挿し入れた俺の舌に自分から絡まってきた。 「………んっ……んん……はっ………んんんっ……」 息苦しいのか気持ちがいいのか。塞いだ口唇から吐息がこぼれ出すが、葵は自分から口を離すことはしない……奥手そうに見えて、お互いをむさぼるようなキスが意外と好きなんだ。 時折息が吸えるように口唇を離してやるが、またすぐに濡れた赤い口唇が追いかけてくる。 くちゅりくちゅりと卑猥な音を立ててキスをしながら、右手で浴衣の裾を割って下腹部を探ると。 「……キス、気持ちいいか?」 わざと尋ねてやると、葵は恥ずかしそうにこくこくと頷いた。 「だろうな………もう勃ってるぞ、お前の」 キスだけでも興奮したのか……葵のモノはすでに大きくなって、下着を押し上げていた。 指摘されたことがよほど恥ずかしかったのか、もともと顔は真っ赤だったが、目に涙まで潤みはじめた。ちょっと、いじわるだったか? 一旦キスをやめて、葵に覆いかぶさっていた身体を離してやると、葵が慌てて起き上がった。 「……ちがっ……違うの!」 目に涙をためたまま、必死な声で訴えるが……ん?何が違うんだ。 「嫌じゃないよっ。恥ずかしかっただけ……ちゃんと続きをしてっ」 ふるふると首を振ると、必死な顔で自分の浴衣の帯に手をかけた。 ……おいおい。何をそんなに慌ててるんだ? 片方を引っ張って結び目をほどこうとした葵の手を、慌てて抑える。するとますます涙は膨らんで、ついにはその大きな瞳から零れ落ちた。 ……何か誤解してるぞ、こいつ。また変な心配をしてるに違いない。 「あのなー。こんないいところでやめられるほど、俺は枯れてないんだけど?」 「………だって……だって……」 「『だって』はいらないから。あと、浴衣脱ぐのは禁止!……せっかくの『浴衣でエッチ』のチャンスを俺から奪うなよ」 「は……はい?」 今夜は焦らずにゆっくり抱こうと思ってたんだけど……葵がその気なんだから、いいってことだな。 じゃあ、遠慮なく先に進めさせてもらおう。 きょとんとした顔でこちらを見る葵の浴衣の襟を掴んで、ぐいっと左右に開くと「わっ」と慌てた声。紺と白の縞模様の浴衣から、真っ白な葵の肌が覗いた。そのあまりの白さに、引き寄せられるように手を伸ばす。 「ひゃっ!」 右手を伸ばして胸を触ると……決して女みたいにふくらみはないけれど、淡い桃色の飾りが二つ、つつましくそこにある。 右の乳首を親指と人差し指でつまむと「…んっ」と小さな声を漏らした。 あー……声、我慢してるな、こいつ。 そう思うと何だか悔しいというか……もっと声を抑えられなくなるくらい乱れさせたくなって……親指の腹でぐにぐにと刺激をしながら、右の乳首を舌で舐めた。 また、小さな声を漏らしてびくりと身体を震わせる。が、声は押し殺したまま。 そのままつまんだり、舐めたり、ひっぱったり…思いつくままに、そのかわいい乳首をいじる。 いじればいじるほど、かわいくなる……んだけど。 「葵さー、ちょっと乳首が膨らんできたんじゃないか?」 「………んっ……ん…………え?」 「何かさ、昔よりいやらしくなった気がする。ぷっくりしてるし」 「はぁんっ………そ…そんな、こと……ない……もんっ」 「いやいや、俺のとは全然違うし。ほら、自分の指でいじってみな?」 そう言うと、起き上がっていた葵の身体をもう一度布団の上に押し倒した。 困った顔をしてこちらを見るのはわざど無視して、もう一度浴衣の襟を左右に開きしっかりと乳首を露出させると、葵の両手をとって胸に当ててやる。 「ほら。好きなやり方でいじっていいぞ」 「やっ……先輩っ…」 手を伸ばして髪を撫でながら葵をなだめつつも、胸から離してしまった手をぐっと引き寄せもう一度押し当ててやる。 逃げようとしても駄目だ。 「大丈夫。ちゃんと見ててやるから」 「……………」 葵はごくりと息をのんだあと、胸にのせていた両手を動かして自分の乳首をいじりはじめた。 指先でつまみ、指の腹でこね回し、爪の先でひっかくと胸をそらして震える。 初めは恥ずかしそうにしていた顔も次第に目がとろりと蕩け、甘い声は我慢することを忘れたように次々とこぼれ出していく。 「……ひゃっ……はぁ……んっ……き、もち…い……」 一人で遊んでいる間、葵はじっとこちらを見つめて目をそらさなかった……合格だな。 ご褒美に今度は浴衣の裾を開いて、ちらりと見える太ももの内側を下から撫で上げた。

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