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第42話
わー!
わー、わー、わー!
何だこれ。何だこいつ。
マジでかわいい。マジで死にそうなんだけど。
こいつ、こんなかわいい顔で、『おしり』って!『おしりの中』って言ったけど!?
そうかそうか……お前もヤル気満々だったのか!
なるほど。ちゃんと俺に挿れてもらいたくて、温泉に来てまで一人でアソコの洗浄を……ってそこまで、多分だらしなくなっているであろう顔をさらしながら考えて……止まった。
あれ?
おかしくないか?
葵からの思わぬ報告につい浮かれてたけど、よく考えたらおかしい……だってさ…
「葵、さっきは高瀬君と風呂入ってたよな?」
そうだ。
恋人であるはずの俺とは入らずに……って、ちょっと悔しかったんだから、間違いない。
葵も、今さら何でそんなこときくの?という顔でこくりとうなずいた。
「……高瀬君と一緒だったのに『準備』したのか?……まさか目の前で、なんて」
二人が仲良くなるのはいいけれど、そんなことしてるところを見せたとなったら話は別だ。
恋人の俺だってそんな、洗ってるところなんて見たこともないのに……だとしたら羨ましい!じゃなくて、友達としてはやりすぎだろう。
すると葵は、
「まさか!さすがに仲良しでも、そんなことはしないようっ」
ちょっと顔を赤くして、恥ずかしそうにしながら言った。
……まあ、そうだよな!いくら仲が良くても、さすがにそこまではしないよな!……ちょっと……いや大分心配したけど。
「あのね、僕と悠希君の二人で温泉に入ってたでしょ?そのときにね、温泉から上がったらの話になって…」
「『上がったらの話』?」
「せっかくの旅行で、部屋もそれぞれに割り当てられてるんだし、きっと夜は……そのー……スルよねー……って話になって。だってほら、どちらも恋人とお泊りするんだしっ」
「あー……まあ、そう言われればそうだな」
まあ。確かにそうなるな。
4人ともまだ枯れるには早いし、浴衣に温泉ってシチュエーション、いつもと違う「特別感」があるしな。
「だったら今のうちにきれいにして『準備』しておこうよ!って話になったの。そういう雰囲気になってからお風呂に行ったとして、もしもお互い出くわしてしまったら気まずいよね…って」
「はー……なるほど……だからそのときに……」
「僕と悠希君と交代で内風呂を使って、洗い終わった人から部屋に戻ろうってことになって……で、僕から『準備』をすませて上がってきたんだ」
「あー……だから風呂上がりには、お前一人だったわけ?」
葵はこくりと頷いた。
なるほど、だから「お風呂はいい」って言ったわけか。別にシたくないってわけではなくて、もう入る必要はないって意味だったんだな……納得。
じゃあ、遠慮なく続きを…ってところで気がついた。
そういえば葵が風呂から上がったあと、長谷川も温泉に入ってなかったか?
『……部屋で寝てる。ちょっとのぼせたみたいで』
『いや、イチャイチャはした。で、のぼせちゃった、みたいな?』
さっき温泉で会ったときの、長谷川の意味深な言葉が頭の中によみがえってきた……あれってつまり?
葵が風呂から上がったあと、まだ温泉にいる高瀬君と一緒に湯に浸かろうと、長谷川が浴室に入る。
内風呂に足を踏み入れると、夜のために『準備』をしている最中の高瀬君と遭遇。
恋人のあられもない姿にくらっときて、その場で襲う。
温泉の中で自分が満足するまでいたしていたら、先に風呂に入っていた高瀬君がのぼせてしまった……ってことか?
だとしたらあいつ……ただの獣だな。
ま、人のことは言えないけど。俺も今から自分が満足するまで、葵を堪能するつもりだし。
「……一応確認するけど、俺、お前ん中……挿れちゃっていいんだよな?」
答えは分かっているけれど、あえてきいてやる。
すると葵は、案の定恥ずかしそうな顔をして俯きながらも、またこくりと頷いた。
よし。
じゃあ遠慮なく、先に進めさせてもらおうじゃないか。
「………俺にも準備があるから、ちょっとここで待ってろ」
照れてうつむいていた葵の顔を上げさせて、ちゅっと軽いキスをすると、俺はいそいそと立ち上がった。
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