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第53話
ようやく満足して口唇を離すと、また葵の顔はとろっと蕩けていた。
口唇の端からこぼれていた唾液を舐め上げてから、手にしていたゴムを受け取ろうとすると。
「あ、ダメ。これ、僕がつけてあげるの!」
さっと俺の手から離し、両手でパッケージを破った。身体を後ろにずらし、中から取り出したぬるぬるのゴムに苦戦しながらも、俺のモノに丁寧にかぶせていく。
……前もそうだったけど、こいつ、俺の息子にゴムつけるの好きなんだよな。
『つけないでしたい』っておねだりをしたこともあるくせに、つける作業はしたがるという……そんな楽しいことでもないと思うんだが。
「できた!」
そんなことを考えているとはちっとも気づいていないであろう葵は、嬉しそうに声を上げると『褒めて?』と言わんばかりの顔でこちらを見る。
………案外、褒められたいだけだったりしてな。
いつものように『よくできました』と葵の頭を撫でてやると、嬉しそうに目を細めた。
さて、2回戦はどうしようかな?
後背位はさすがに今夜はやめておくとして、不安を取り除いてやるなら無難に正常位か?布団に寝かせようと葵の肩と背中に手を回し、動かそうとしたところで。
「先輩……僕、このままがいい……」
ん?このまま?
「さっきみたいにぎゅってしたまま、したい」
ぎゅってしたまま、ってことは、リクエストは対面座位か。
もちろん俺に異存はない。葵からおねだりっていうのも、萌えるしな。
葵の脇に手を添えて、中腰のまま俺の身体を跨がせると、葵は俺の首と背中に手を回した。
不慣れな葵のために、ゴムをまとった俺の息子の切っ先を、葵の孔の入口にあてがってやる。
よし、準備完了。あとは……このあと訪れるであろう快楽に期待しているのか、顔を赤く染めている葵の耳に囁いてやる。
「じゃあ、ちゃんとぎゅってしてやるから……あとは自分で挿れて」
「えっ!僕が?」
俺の囁きに驚いた葵は思わず立ち上がりかけて……って、逃がすかっ。
腰をぐっと押さえて立てなくしてやる。
「そ……したいんなら、自分から挿れんの」
恥ずかしさのあまりますます葵の顔は赤くなるが、気にしないふりをする。
今夜は何だか俺ばっかり煽られてて、俺ばっかりペースを乱されている気がするから……まあ、お返しだな。
ほら、ほら。
下から竿の先でつんつんと入口をつついてやると、葵の身体がぶるっと震えた。
「………うー……いじわるぅ……」
涙目で文句を言いながらも……葵は両手で俺の肩を掴み、ゆっくりと腰を下ろしていった。
「……んあっ……は……おっ…きい………」
俺だけじゃなく、葵自身も余程切羽詰まっていたようだ。
恥ずかしそうにしていたけれど、結局自分で自分の孔に俺のを迎え入れた。さっきまで拓かれていた孔はまだ柔らかく、ずぶずぶと俺のモノを飲み込んでいく。
「あっ…あん……もう……む、りぃ……」
自分の体重を支えているからか、快感が強すぎるのか……葵の太ももがぷるぷると震えている。
今、ちょうどカリの部分を飲み込んでいるところで、これを通り過ぎればあとは楽なのだろうが。
「……ん……はっ……俺も……手伝ってやる…ぞっ!」
「ひゃ!はぁぁんっ!」
ゆっくりと腰を落としていく葵の動きがじれったくて、思わずその細い腰を掴み、下向きに押してやる。するとその勢いで、俺のカリの部分をずっぽりと咥えこんだ。
あまりに刺激が強すぎたのか、葵の脚から力が抜け……すると当然のことながら重力にしたがって、葵のナカは俺のモノをずぶずぶと飲み込んでいく。
「あっ!ひゃあん!……だめ…ふ、か…いぃー…」
体重もかかっているし、いつもより奥深くまで拓かれているのだろう。葵は「だめ…だめ…」とつぶやくが、自分で飲み込んでいるのだからどうしようもない。
いつもと違う悦楽に、葵のナカはぎゅうぎゅうと締め付けて、俺のモノを離そうとしなくて。本人の意思とは反対のようだが、ここは身体の反応の方が素直なのだろう。
なら、むさぼるまでだ。
葵の腰をもう一度がっちりとつかみ直すと、思いっきり自分の腰を押し当てて、自分のモノを最奥まで捩じ込んでやる。
「あっ……あああああああ!!!」
悲鳴のような嬌声をあげた葵は、俺より先に一人、精を吐き出して果てた。
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