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第15話
電車が駅に着いて改札を抜けると、家までの道をとぼとぼと歩く。
せっかく三枝君に会ってもらっていた元気も、そろそろ切れかけているみたいだ。
家に帰ったらまず、顔を洗ってお風呂に入ろう……隅々まで洗って、湯船につかって、この身体にたまりにたまった不安の塊を、一時でいいから洗い流してしまいたい。
そしたらまっすぐベッドに入ろう。今日はあったことは考えないで、夢の世界に逃げ込んでしまえばいい。
……あいかわらず僕は後ろ向きだ。
でも、そうでもしないとおかしくなってしまうんじゃないかと思うくらい、僕の心はぼろぼろみたいだ…
最後の曲がり角を曲がると僕の住むアパートが見えた。
家を出るときはあんなにうきうきしていたのに……今日もお泊りだと思っていたのに……どうしてこんなことになってしまったのか…
………足もとばかりを見て歩いていたから、気づかなかった。
二階にある僕の部屋へと続く階段を上っていくと、見慣れた靴が視界に入った。
─────え?
何が起こっているのか分からないまま顔を上げると…
「───遅かったな……具合はどうだ?もういいのか?」
スーパーの袋とコンビニの袋と……一つずつ持った普段着姿の先輩が、壁にもたれてそこに立っていた。
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