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第37話

「───え?」 「だから、フェラ。フェラしてやるから、服脱げよ」 そう言うと先輩は僕をのせたまま「よっ」と起き上がった。それから先輩の膝にのった状態の僕のベルトに手をかけて外し始める。 「ちょっ、ちょっと待って!そんな急にっ」 「急でもないだろ。すっきりさせねーと辛いだろうし。遠慮すんな、恋人なんだから」 「───っ!」 『恋人なんだから』 そんな一言で僕の心は呆れるくらい舞い上がって……ますます身体が昂ってしまう。 どうしよう。もうこのまま先輩にこの身を委ねてしまいたくなる……でも。 「───僕もする」 「は?」 「だから、僕もフェラする。僕だって、恋人なんだから」 「え、いや……だってさ…」 「ね?僕もフェラしたい……先輩の…舐めさせて?」 先輩にも気持ちよくなって欲しい。 僕のナカで果てることができないのだとしたら、せめて口でイかせてあげたい……それって、ワガママ? 無理にでもしてしまおうかと、僕も先輩のベルトに手をかけたとき… 「…………え?」 「─────あ」 二人揃って、声を上げた。 だ、だって! 「せ、先輩!鼻血出てるよっ!」 「………あー…興奮しすぎたわ」 こ、興奮って何に!? あわてだす僕とは対照的に、先輩はいたって冷静……でも、鼻からはたらりと血が出てるんだけど! 「大丈夫!?ティ、ティッシュは!?ティッシュはどこ!?──って切れてるし!」 ベッドの横に置いてたティッシュの箱は空っぽ。新しいものが出されてない! 何でこんなときに!? 「あー、この前鼻をかんだときに切れたままだ」 「もう!ストックはどこにあるの!?」 「どこやったかなー…っていうか、あったかなー…」 「ちょっと、先輩!?」 そんなこんなで先輩の鼻血が止まるまで大騒ぎ…甘い雰囲気はどこかへ吹っ飛んでしまったのだった。

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