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第38話
小さい頃はやんちゃだったという先輩は鼻血が出るのなんて慣れたことだったようで、何とか見つけ出したティッシュの上から鼻をつまむとベッドに腰かけてじっとしている。
小さい頃からおとなしい子だった僕は鼻血が出ることに慣れてなくて、そわそわしながら先輩の横でちゃんと血が止まるか心配している。
……そんな風にしながら5分くらい待って。で、ティッシュを外してみると、ちゃんと鼻血は止まっていた。
ティッシュをごみ箱に捨てて手を洗いに行った先輩の背中を見送ると、もう何というか、ほっとしてぐったりと疲れてしまった。
よかった……何でもなかったみたい……
それはよかったけれど、さすがにもうこのあとは続きをしないだろう……だったらそう、夕飯のことを考えなくっちゃ……
そんなことを考えていたら、先輩が洗面所から戻ってきた。
『先輩、夕飯はどうする?』って声をかける前に、先輩はシャツを脱いだ。脱いだ服を床に落とすと、そのままベルトを外してスーツのスラックスも脱いで──って、ちょっと待って!
「えっと……先輩?何で脱いでるの?」
「は?何でって、今からスルからだろ?」
「えっ!?今からスルの!?」
「えっ!?今からしないの!?」
こっちがびっくりするくらい驚いた声を上げた先輩は、「……そうか、しないのか…」と情けない顔で呟いてから、がっくりしゃがみこんでしまった。
そ、そんなに落ち込む…?
「………えっと……先輩は今からでも、僕と……その……そういうこと、できるの?大分時間がたったし……もうそんな雰囲気じゃあ、ないでしょ?」
「は?あのなぁ、今すぐでもしたいんだよ、俺は!どれだけの間、我慢したと思ってんだ!?言っとくけどな!お前に触れなかった間は俺、お前のこと考えては一人でオナってたんだからな!」
「ふぇっ!?何それ!?っていうか、僕のどこらへんがそんな…」
「どこって全部だよ!全部!甘い喘ぎ声とか、イクときの顔とか、ピンクの乳首とか、ほっせーのに俺のが全部挿っちまう腰とか…」
「やっ、やめてやめてー!恥ずかしいからーっ!」
「恥ずかしいって、俺は誉めてんだけど?とにかくお前がその気になれば、俺はいつでも勃起できんの!」
「えー!?」
僕なんかの身体で?
さっき鼻血出したばかりなのに?
……何だか嘘みたいな話で……でもやっぱりしたいのは僕も同じだから、試してみることにする。
ベッドから立ち上がって……着ていたカットソーを脱いで……履いていたデニムを脱いで……
下着に手をかけたとき、先輩の変化に気づいた。
「──あ、本当だ……おっきくなってる」
さっきまで普通だった先輩の下着の中で、今はすっかり大きくなってしまったそれが、その存在を主張している。
……ただ服を脱いだだけなのに、先輩は僕に反応したんだ……
その思ってもいなかった出来事に、僕は思わず息をのんだ。
「な?俺はいつだってお前が欲しいの!そろそろ自覚しろ」
そう言うと先輩は、僕をぎゅっと抱きしめた。
さっきまでとは違う、下着以外の何も身に纏っていない状態で抱きしめられて……僕だって冷静ではいられない。僕だって、先輩が欲しい。
僕は先輩の背中に手を伸ばすと、ぎゅっと抱きかえした。
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