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第46話

目の奥でちかちかと光が明滅する感覚。 脚にも腰にも力が入らなくて、ぺったりと先輩の身体に覆いかぶさったまま、荒い呼吸を繰り返していた。 久しぶりの射精だった。先輩の身体に触れられなくなってから、もともとそんなになかった性欲がほぼゼロになって……自分自身を慰めることだってしなかった。 こんなに気持ちがいいものだった…? 痺れるような快感に、身体を動かすことすらままならない。 「……わりぃ……葵…」 先輩の声が足もとからしたかと思うと、先輩の上にのっていた身体をずるりと動かされる。跨いでいた足を下ろされると、先輩との間に隙間ができたみたいで……胸が苦しい。 ──やだ。もうちょっと側にいて? そう思って縋ろうとした手を、先輩の手が上から掴んだ。 「───ふぇ…?」 思わず顔を上げると、いつの間にか身体を起こしていた先輩が、じっと僕を見てる。 ……その、なんだかぎらぎらとした瞳に、どきりとしてしまう。 「俺も、あとちょっとだから……手伝って?」 そう言うと先輩は、掴んでいた僕の手をぐいっと引き寄せて、自分の手と一緒に自分のものを握りこんだ。 「……………あっ……」 自分は先にイってしまっていて気づかなかったけれど、先輩はまだ達していなかったんだ。 先輩の手と一緒に扱いていると、どんどん先走りが溢れてきて……それが立てるくちゅくちゅという濡れた音と、先輩の荒い息遣いが部屋を満たしていく。 目を閉じて快感を追う先輩の顔は、かわいいような艶っぽいような……不思議な表情で。 見ていると何だかぞくぞくしてきて…… 思わず空いている手で下生えをかき分けると、ぺろりと根元から舐め上げてしまった。 先輩のおちんちんがびくりとふるえて……それも何だかかわいくて…… 「──葵っ──はっ…はぁ──葵っ……」 こぼれ出す吐息にまぎれて、自分の名前が呼ばれるのが嬉しくて…… 伸びた左手が僕の髪を……頭を撫でてくれるのが嬉しくて…… 「──あっ───くっっ!!!」 根元をちゅうちゅうと吸い上げていたら、先輩の堪えるような声。 その声に目をつぶったとたん、僕の頬に、額に、顎に、ぱたぱたと熱いものが降ってきた。 ……ああ、先輩……僕の手と、口でイってくれたんだ… 嬉しくなった僕は、くたりと少し力をなくした先輩のものを咥えて、出し切らなかった残滓を吸い上げた。

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