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竜一のクラスに竜一の姿はなく
宛もなく玄関に向かった
校門には勧誘や来客で溢れていた
いくつか屋台がある
そのひとつに焼きそばを売っている屋台があり
見ると竜一が店番をしていた
「竜一…」
息を切らせたさくらは
その屋台の前に立った
「……さ、くら?」
女装姿のさくらに
驚きを隠せない竜一
「……うん」
少し照れて俯く
「女装カフェをしてて……」
「…似合わねぇな」
竜一の意外な言葉に
さくらは驚いた
「けど、他の野郎には見せたくねぇな…」
そう言った竜一の顔が少し赤いのにさくらは気付く
「だったら、どこか連れ去ってよ……」
少し意地悪くさくらは言った
竜一が玄関の方を見ると、次の店番がこちらに向かっていた
「…いいぜ」
そう言って竜一はさくらに近付き
さくらの手を取った
【END】
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