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太一はさくらを抱きしめた
ぎゅっ、と強く抱きしめた後
その柔らかそうなさくらの唇に
太一は唇を重ねた
………
……
「…あの…
どうしたの?」
腕を離されてから
ピクリとも動かなくなった太一を心配し
声を掛けるさくら
太一はハッと我に返ると
さっきの光景が妄想だったと気付く
大きな瞳で太一を不思議そうに見つめていると
太一は再び顔を赤らめた
「…あ…
え、えっと…」
「…ん?」
太一の心情を知ってか知らずか
屈託のない眼差しを向けるさくら
その瞳を直視できない太一
まだ教室には何人か残っていたが
二人のやりとりなど
眼中になかった
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