53 / 54
6
気迫に負けた太一がその場から立ち去る
太一の行動の意味が良く解っていないさくらは
沈む夕日の前に立つ竜一を見上げた
逆光で表情は見えないが機嫌が悪いのはすぐに解った
「……」
竜一はさくらを置いて教室から出ていく
「……待ってよ竜一…」
さくらは涙目になりながら竜一を追いかけた
そしてその広い背中に抱き着く
廊下にはまだ数人の女子がいたけど
窓の外を見ていたため
気付く人などいなかった
「……お前なぁ」
竜一は少し照れながらさくらの方を向く
さくらはいつもの表情に戻った竜一見て笑顔に変わる
ともだちにシェアしよう!