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第3話

「…う、椎茸」 「ほら、食ってみ。 今日は美味いかもよ。」 此処に来れる子はまだ良い方だ。 いくらマスメディアで取り上げられても場所がないところの方が多い。 子供達が歩いて行ける範囲内になければ意味がないんだ。 箸で持ち上げた椎茸をじっと見詰め、ぱくっと口にする。 もぐもぐと口を動かし嚥下した。 「…一口食べた。 オイシイ…」 「偉いな! 沢山食って大きくなってくれよ。」 髪を掻き乱すと、こちらもしっかりと頷いた。 良い子だ沢山食べて元気に大きくなってくれ。 1食100円。 10円でも50円でも、払えなきゃ払えないで良い。 近所の人や農家さんから余っている食材や傷物、新鮮な野菜を特価で譲って貰ってなんとか遣り繰りしてる。 自治体の補助金もあるが、ほんの僅かだ。 まるで、支援がポーズのよう。 正直ギリギリの月もあるが、子供食堂以外の時間は同じこの店舗で総菜屋をしてるから自分ひとりなら食っていける。 元々贅沢な性格でもないし特別苦にもならない。 「お兄ちゃん、美味しいね。 これ、ハンバーグ、お豆腐だよ。」 「美味いな。 足りなかったら兄ちゃんのやるから言うんだぞ。」 「うんっ」 「……」 それに、 …これは、俺のエゴだ

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