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第7話

元気な声と共にやって来た子供達に、要はいつもの笑顔を向けた。 暑くても寒くても、晴れてても雨が降っていても、子供達が元気な事がなにより嬉しい。 漸く身体が動く様になり、夕食の準備をしていた要に子供達は各々声をかける。 「要…具合悪いってほんと?」 「もう大丈夫だよ。 聞いたの?」 「…うん」 大丈夫?と心配気に見上げてくる子供と目線を合わせて口角を上げてみせるも、服の裾を小さな手で握って“何か”を我慢している。 「本当だよ。 昼は少し調子悪かったけど、今は元気。 俺、みんなに嘘吐いた事ある?」 その小さな手を優しく握って笑顔を浮かべた。 子供は大人より人をよく見ている。 下手な嘘は通用しない。 だから、自己暗示にも似たソレでいるしかない。 「ないけど…」 「けど?」 「…心配」 「心配してくれてありがとう。 みんなは優しいな。 俺、嬉しいよ」 此処に来る子達はみんな痛みや寂しさに敏感だ。 自分の事の様に悲しみ、苦しみ、心配する。 本当は、そんな事気にせず元気にいて欲しいのに。 子供らしく過ごして欲しい。 「ありがとう。 さ、ご飯食べよう。 あったかいうちに食べてよ」 夏野菜を沢山使った鶏肉のトマト煮込みを皿に盛りながら子供達と他愛もない話をするこの時が好きだ。 苦手な野菜が入っていると渋い顔をする子もいるが、結局は食べてくれる。 要のご飯なら食べられるよと優しい言葉と共に。 此処に来る子供達に、俺は助けられている。 そう。 本当に助けられているのは俺の方だ。

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