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第8話

「ご飯おかわりする人」 「はい!」 「俺もする!」 ワイワイと食事の時間を楽しんでいると、出入り口に付けた鈴が音を響かせた。 要は反射的にそちらを向く。 「いらっしゃいま…」 「おう。 来たった」 エコバック片手に、よ、と手を上げフランクに入店してきたのは心。 心の来店に子供達は一層嬉しそうな顔になった。 「心兄ちゃんだ! ご飯食べに来たの?」 「せやで。 要のご飯美味いからな。 俺も仲間に入れてくれる?」 「勿論! ね、要兄ちゃん」 店を開いてから何度も来てくれている心は、持ち前のコミュニケーション能力で子供達とすぐに打ち解けた。 心も子供達に花火を買ってきてくれたり、落ち葉掃除をして芋を焼いたり、子供時代に大切な事を一緒にしてくれる。 心自身が楽しそうにするから子供達もすぐに懐いた。 優しく微笑む心から、昔となんら変わらない良いにおいがする。 不思議だ。 どんなに時間が経ってもあの日に、付き合っていた時に戻れそうな気がする。 俺も良いか?と見てくるので1つ頷いた。 「うん。 心も食べよう」 「これ、賄賂な」 ずいっと差し出されたエコバックの中には繁華街に行かないと買えない店のお菓子や、飲み物。 ネット販売をしてくれない店の食品。 それと、奥にこっそりとビールと酎ハイ。 定休日という概念のない要を気にして時々土産を持ってきてくれる心の優しさが要は嬉しい。 「心兄ちゃん、手洗わないと要兄ちゃんご飯よそってくれないよ」 「おお、せやな。 手洗いうがいに厳しいなぁ」 「でも、大切なんだよ」 「言う事が大人やな」 わしゃわしゃと髪を撫でくると子供は嬉しそうに頬を緩める。 腕捲りしながら歩く背中に子供達が群がり、店の中は一層明るくなった。 心は子供達にも太陽みたいな存在だ。

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