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第2話

Side尚 「う゛………………こじいだい…………」 朝起きて、寝返りをうとうとした時鈍く痛んだ腰に、昨日の夜の激しさを思い出す う゛〜……と唸っていると隣から笑い声が聞こえてくる 「くくっ……まだ万全じゃねぇんだ、寝てろ」 愉快そうに笑う彼は昨日の激しさなどもろともしてない様子だ 金色のふさふさとした尻尾がゆらゆらと愉快そうに揺れている その揺れている尻尾を掴むと、頬にあてすりすりと頬擦りをする 「きょ……ちゃん、今日は?」 「俺は大学行ってくる、お前は家にいろよ? いいな?昨日のような真似はするな 頼むから、心配だけはさせないでくれ」 「うん……ありがど…………昨日はごめ………… …………ケホッ……」 「あー、もうしゃべるな ……そろそろ離せ、大学行かねぇと」 そう言うと、するりと俺の腕の中からもふもふがいなくなる あぁ……もふもふ……………… ジッと恨めしそうに後ろ姿を見つめていると、綺麗な金色の虎から、人間へと変化する ポーっとその変化に見とれてしまう 「くくっ、なんだよ もふもふがぁ……ってか?」 「ううん、どうやって変化してるんだろうなって気になって 僕は出来ないからさ……」 「そりゃそうだ てめぇはただのサルだからな 俺らは進化してできた種だからな お前とは訳が違うんだよ、くくっ」 その言い方に、ツキン……と胸が痛む 確かに……純血の人間族だけど………… その言い方は……ひどい……………… 「ひどいよ……そんな言い方しなくても……いいじゃんか…………」 小さく呟いたつもりだったが、バッチリ彼に届いてしまったらしい ギラっとこちらを睨む目に気づき、しまったと肩を震わせた時には、もう遅かった 変化を解いた虎が目の前まで迫る 虎の大きな手が僕の肩を爪で掴み、全体重をかけてくる 痛みに顔を顰めていると、豹変した彼が暴言と暴力をふりはじめる 肌を爪が裂き、肩は鋭い牙に噛みつかれる 「俺は事実を言っただけだぞ! 俺に口答えする気か?あ?人間ごときが! ありがたく思えよ……クソガキ あの時誘拐から救ってやったのは誰だと思ってるんだ! 今すぐ売り飛ばしてやってもいいんだぞ? 人間専門の風俗にな! お前は俺の性処理だけやってればいいんだよ……わかったか!」 「うぐっ…………は…い…………………」 爪でずたずたになった肌から血がタラーと垂れ 噛みつかれた肩は裂けてしまっていた その様子を見た彼は、ハッとした顔をし人間に戻る 「…………すまない……こんな言い方すべきじゃなかったな………… もうしないから………… じゃ、行ってくる」 「いって……らっしゃい…………」 反省したように肩を落として出ていった彼 その姿を見送ったあと、安心からか痛みと恐怖に涙が出てくる 彼は……このごろ、些細なことでキレるようになった けど……多分これは彼のせいだけじゃない…… (僕も……なかなか学習しないよな…………) 昨日機嫌を損ねたばかりだと言うのに、また怒らせてしまった自分に腹が立つ ・・・・・・・・・・・・・・・ 昨日…好きなアーティストの限定版アルバムが出ると聞き、こっそり買いに行った 昨日は外出禁止の日だったにもかかわらず、彼は飲み会だと分かっていたため、どうせバレないだろう……と耐えられなくなり飛び出した 甘い考えで出ていったのが行けなかった 人気アーティストの限定アルバムを無事買えた僕 ほくほくで家に帰った僕の目の前には、目を光らせた虎がいた……………… しまった…………そう思ってももう遅い 首に噛みつかれ、乱暴に寝室へ放り投げられる 床に頭を叩きつけられ、肩を牙でえぐられ、爪で肌を裂かれる………… いくら謝ろうとも、虎の姿の時は全く通用しない ごめんなさい、ごめんなさいと何度謝っても唸り声が聞こえるだけ………… だが、怪我、骨折だけで済むならまだマシな方だ 昔、誘拐された時がひどかった 僕の不注意で、玄関のピンポンがなっても出るな、とあれほど言われていたのに出てしまい 簡単に誘拐されてしまった その時は今までにないくらい怒られ、結果出血多量で病院に搬送された さすがにその時は親友の冬樹悛[ふゆき あらた]がとても心配し、交際を猛反対された あいつはやめとけ、と言われたが………好きになってしまったんだ………… どんなことをされても、どんなに酷い目にあおうとも…………彼が僕を見てくれればそれでいい そう思ってた……………… あの時までは……………………

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