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第8話
Side尚
「う゛………………腰痛い………」
夜中にトイレに行きたくなって目が覚める
トイレに行こうと、立ち上がったが、腰の痛さに驚きベッドにポスンッと座り直す
どうしようか、と迷っていたがやはり我慢できなくなりよたよた歩きで壁伝いにゆっくりと進む
玄関横のトイレを目指して歩く
するとチラリと玄関に並んだ靴が見えた
「あ、まだみんな残ってる…………」
靴が1足減っているのは気になったが、まだほかの3人が残っていることに気づき、お世話をしないと怒られてしまう…………と、いつものきょうちゃんを思い出して焦りながらトイレを済ませ、ヨタヨタとキッチンへ急いだ
・・・・・・・・・・・・・・・
キッチンで料理を作り終わり、リビングの部屋へと向かう
まだ光が灯っているその扉を握った
もう一度その光を確認し、作った料理皿をキュッ……と握りしめ、怒られないことを祈りながら部屋に入った
「うわっ!?なに!?」
「びっっくりしたぁ………………彼女ちゃんか」
「驚かせんなよな…………」
「ご、ごめんなさい…………」
怒られるのは覚悟していたが、まさか驚かれるとは思っていなかった僕は3人とともに肩をビクッと跳ねさせた
落としそうになったお皿を慌てて握り直すと、ひとりがそれに気づきお皿を指さした
「それ、なしたの?」
1人が呟いたセリフにほか2人も興味津々な顔で僕の手元を見つめる
「あ、おつまみ………………というか、小腹がすいたかな……と思って………………」
「は?まじ??」
1人のその言葉に、迷惑だったのか……と冷や汗が出てきそうになったが………………次の瞬間、みんなが僕のお皿をつかみ、取り合いを始めた
「これ、俺のだから!」
「いや!俺に作ってくれたに決まってる!」
「はぁ?誰がバカ2人に作るんだよ!
俺のだろ!」
「「おめぇもバカだろうが!」」
ギャンギャンと、僕の料理を取り合いし始めた彼らにあわあわと焦ってしまう
…………どうしよう、あんまり騒がれるときょうちゃん起きちゃう………………
そう思っていた時だった…………
「なにしてんの、お前ら」
「「「朔也さん!」」」
いなくなっていた1人が帰ってきたみたいで、コンビニ袋を手に下げたイケメンが扉から顔を覗かせていた
彼は取り合いになっていた僕の料理を見て、あわあわしている僕にも目を移すと、ジトー、と彼らを見つめた
「お前ら…………困らせてんじゃねえよ…………
それと…………それ俺によこせ
パシリ代だろ?俺の」
「「「え゛………………」」」
「あ?なんだ?文句あんのか
お前ら……俺に飯買わせにいかせて
まさか、まさかとは思うが食わねぇとか言わないよな?ん?」
「「「いただきますっ!!」」」
朔也さん(?)がコンビニ袋を掲げて、爽やかな笑顔で首を傾げると、青い顔になったみんなが、その人に僕の料理を捧げて、コンビニ袋を恨めしそうな目で見ながらそれぞれ料理を取り出した
寂しそうに冷たいコンビニ弁当をつつく姿に、僕まで悲しくなってくる
そうだよね……あったかいご飯食べたいもんね………………
コンビニ弁当をつつく彼らに少し罪悪感を覚えた僕はキッチンに走ろうとした
と、その時横からパシッと手を取られる
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