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第11話

Side朔也 「………………寝たか」 横からスピスピと幸せそうな寝息が聞こえてきて、ホッと安心からため息をつく 今、俺に抱かれて寝ているのは後輩の彼氏 俺は、この家に着いてからこいつのことが気になって気になって仕方がなかった なんでかと言うと、そいつは自分家に居るのに、ここに来た誰よりも緊張しているように見えたからだ しばらくして気がついたが、その原因は彼氏の響也にあるようだ 響也がかえって来た瞬間、フラフラの足を動かし、ダッシュで出迎えた彼 あ、可愛い子が来たな……と呑気に俺が思った次の瞬間には踵を返し、ダッシュで逃げていった 人見知り……なのか? と思っていたが、20分もしないうちにとんでもない量のおつまみを作ってきた 大粒の汗をかきながら、プルプルと震える手で料理を運んできた彼を見て、大丈夫か、と心配してしまう まぁ、労わるのは響也の権利だろうなと思った俺は、ありがとう、と一言いって、皿を受け取った 響也は、そんな彼をちらっと一瞥しただけでそのまま後輩との会話を楽しんでいた おいおい……労わらないにしろ、ありがとうの一言くらい言えよ…………それもなしか………… 一番最初に気になったのは、そこだった その後も、彼、尚くんは響也の様子を終始伺っているように見えた どうすれば、響也の機嫌を損ねないか どうすれば、怒らせないか とチラチラ確認しているようだった ………………言い忘れていたが、俺が行っている学科は法学科で、警察になりたい俺は心理学も専攻している この間心理学の授業で……尚くんのように、相手の様子を伺ってばかりいる奴はDVされている可能性がある、と習ったばかりだった そのせいもあるだろう………… 興味本位で、教授から習った他のことも彼にあてはまっていないか確認したくなった …………まぁ、わかりやすいのは人目につかない肌の状態だよな………… 尚くんの上の服を少しだけはだけさせて、肌の状態を見た 「おいおい、なんだこれ…………」 彼の肌を見てみると、爪痕がびっしりと残っていて、新しいキズなのか、赤黒くなった血もいくつかこびりついていた その他にも数え切れないくらいの痣も沢山確認できた なにより、不安だったのがとても痩せていることだ 肋骨は浮き出て、骨と皮しかない状態になっていたし、 肌の色は青白くて、本当に生きているのか不安になるくらいだった 「おいおい……これは………………まずいな…………」 これ以上肌を探るのは良くないだろうと思った俺は 明日詳しく本人から聞こう………………と決め、 そのまま彼の横でうたた寝を始めた 俺のこの行為が、彼を危険に晒すだなんて、なにも考えずに………………

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