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第13話
Side尚
「な、なにしてるんですか!?」
「お、おい!おまえらやめろ!」
た、助かった………………
朔也さんときょうちゃんの殴り合いを止めてくれたのは
リビングで酔いつぶれていた3人だった……
1人が朔也さん、もう2人がきょうちゃんを止めると
2人とも冷静になったのか、ふぅ……とため息をつくとドサッ、と座って睨み合いを始めた
しばらく睨み合ってると、きょうちゃんが僕に目を向け、キッ!と睨みつけてきた
その視線にビクッ、としてしまう僕
そんな僕をさらに睨みつけると、冷たく言い放った
「なお、この家から出てけ」
「……………………え?」
今まで、気に入らないことがあっても、出てけ、とまでは言われたことがなかった僕
出てけ、と言われてびっくりして、声すら出なくなった
どうして?
僕もういらない子?
性処理ですらも、使ってもらえないの……?
そんなの……嫌だ………………
「………………だ……」
「あ?」
「嫌だっ!」
「ちょ、ふざけ……なお!」
僕を必要としてくれている人が、傍からいなくなる寂しさに耐えきれなくなった僕は、彼にすがりついて、許しを請った
「ごめんなさい!僕、なんでもするから……
もうワガママも言わない
なんでも言うこと聞く…………
だから…………捨てないで…………」
また、捨てられる恐怖からか、体がガクガクと震え、心が悲鳴をあげる
ポロポロと涙を零して、顔をぐしゃぐしゃにして縋る僕
そんな僕を、呆れた顔をして見下ろすきょうちゃん
「………………ほんとになんでもやるんだな?」
「…………うん!なんでもやる!」
そう即答すると、呆れ顔から、にたり、と顔を変え、彼が笑ったのが見えた
あぁ……また僕間違えたかな…………
そう思ったが………………もう遅い
ニタリとした顔のまま、彼は部屋を見渡すと
後から来た3人に命令をする
「朔也さんを残して、他全員出てってください」
「響也…………なにを………………」
「帰ってください」
「…………………………っ!くそっ」
家主の言うことは絶対だとわかっている彼らは
僕と朔也さんのことを気にしながら、出ていった
しばらくすると、ガチャ……と玄関が開いて、閉まる音がした
すると、きょうちゃんが動き出した
するりするりと僕の服を脱がすと、あっという間に全裸にさせた
それを止めようと、朔也さんが動くが
きょうちゃんに睨まれ、なにも出来なくなったみたいだ…………
「……なにしてるんだ…………」
「こいつは俺の所有物なんですよ?
なにしてもいいでしょ」
そういうと、朔也さんに見せつけるように僕の首に噛み付いた
「…………ぁ……んッ…………」
「…………淫乱め………………
今から朔也さんの前で、お前を犯す
いいな?」
耳元で囁かれた言葉に、絶望を覚える
昨日の夜……僕に優しくしてくれた彼の前で
きょうちゃんに犯される………………
今までは、どんな状況でも、嬉しかったその手が…………
今日は全く嬉しくない…………
むしろ…………気持ち悪くて…………
目の前で目を見開いて、悔しそうにきょうちゃんを睨みつけている朔也さんの腕の中に逃げたくて…………縋りたくて仕方が無い………………
…………嫌だ……見て欲しくない…………
なんだか、恋人の前で、レイプされる直前の子の気分だ………………
どうして、こんなことを思うのか、今の僕には全くわからなかったけど…………唯一わかることがある………………
………………僕は、朔也さんに嫌われたくないんだ………………ということ………………
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