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第20話

Side尚 痛い……………… 身体中が……心が…………そう悲鳴をあげる 愛されたいのに愛されない………… 大切にして欲しいのに……大切にされない………… 今までの人生ではそれが当たり前だったから……なんにも苦痛に思わなかったのに………… きょうちゃんと出会ってから………………僕は変わってしまった………… 『尚、愛してる』 『なーお、そんな隅にいんな ほら、こっちおいで?』 『なお…………好きだよ? なおも……オレのことスキ?』 部屋の隅にいれば、近くに来いと呼びかけてくれた 僕が不安そうにしてれば、愛の言葉をかけてくれた 僕に愛の言葉をかけるだけじゃなくて、僕の愛も必要としてくれていた………………はずなのに……………… 『尚……口答えすんなよ…………』 『お前は俺の性処理だから』 『人族のくせに………… 日本人のくせに…………生意気なんだよ!』 …………ずっと……自分は大切に思われていると思っていた………… お願いは聞いてもらえるし、わがままだって最初は受け入れてもらってた お手伝いだって“お願い”してもらってた 『尚……食器洗ってもらえるか?』 『うん、全然大丈夫だよ?』 『ありがとな、尚 じゃ、“お願い”な?』 今までお手伝いなんて……命令されてやるものだったから……………… きょうちゃんに“お願い”って言われる言葉が嬉しくて…………頑張っていたのに……………… 今はどうだろうか………………… 「じゃ、尚……今日も“お願い”な」 「んむぅ………………」 「響也さん……………… これ……好きにしていいんすか?」 「あぁ……いいよ? あ、ただボールギャグは外すなよ?」 「了解っす!」 僕に向かって伸びてくる複数の手………… きょうちゃん……ぼくね…………きょうちゃんの“お願い”ならなんでも聞くよ………… でも………………この“お願い”だけは…………聞きたくなかったな……………… 「んッ………………ふぅ…………」 「おぉ、大人しいっすね〜 さすが、日本人っすね!慣れてる〜」 「こいつ可愛いっすね〜 ほんと、女みたい……」 ベタベタと撫で回される手……………… きょうちゃんではない人に抱かれ始めて何日がたっただろうか……………… 1番目は、太っているおじさんだった…… 2番目は、若そうな男の子……………… 3番目から…………数えなくなった………… 数えれば数える程…………虚しくなるだけだった…… ねぇ…………いつになったら…………僕は愛して貰えるの? それとも…………一生無理……? 「おぉ……よしよし、泣くな泣くな」 「気持ちよすぎてっすかね? これからもっと気持ちくなるっすよ〜」 きょうちゃん……………… 『尚……愛してるぞ』 …………きょうちゃん……………… 『なーお、そんな隅にいんな こっちおいで?』 ………………っきょうちゃん………… 『好きだよ…………尚』 ………………たすけて……きょうちゃん………… 心が…………裂けそうだよ……………… きょうちゃんとの幸せな日々を思いながら……僕は静かに涙を流した………………

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