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第25話

Side尚 僕の目の前にいる彼、朔也さんからの電話は、今から一週間前にかかってきた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「………………いいよ、尚くん…………」 「んぅ………………んんっ、んッ」 「ぁ、でるっ!!」 「ンンンっ!!!」 中で跳ねるお客さんのものに嫌気がさす………… どくどくと、お腹の中が暖かくなったのを感じ あぁ…………やっと終わった……………… と、安堵のため息を漏らす お客さんがベッドサイドにお金を置いて、部屋から出ていった瞬間に、僕は意識を手放した… プルルルル……………… 「………………んぅ?」 気持ちよく寝ていた僕をたたき起こしたのは、家にある受話器からの着信音だった ………………出なきゃダメかな………… 今までかかってきたことがない家の電話に出るのが怖かった けれど、ケータイ使用を禁止されている今、もしかしたらきょうちゃんがかけてきたのかもしれない ケータイを没収された際、なにか用があったら家電に電話する……と言われていたのを思い出し、ベッドから慌てて起き上がる ………………急ぎの用とかできたのかも………………だとしたら……遅いと怒られる! 手枷と足枷を焦りながら外し、受話器の元へ、転げ落ちるように慌てながら向かう 受話器までたどり着き、電話をとると 想像していた人物とは違う声が聞こえてきた 『尚くん…………元気かな? 朔也です』 その声が聞こえた瞬間に涙が零れてきた きょうちゃんの先輩である……あの日の優しい彼………… 僕のこと覚えててくれたの…………? 話がしたい……助けを求めたい………… けれど、ボールギャグを付けられた口では何もすることができなくて、ただくぐもった声が盛れるだけだった 「んんぅ!んぐぅ!」 『………………尚くん? 話せる状況じゃ……ない感じ? 大雅!なにかで口を塞がれてるっぽい………… 『了解です!みんなに伝えます!』 参ったな……予想以上にひどい………… 尚くん…………俺がする質問 あってるなら、ん!っていって 間違ってるならんん!っていって』 「ん!」 即座に僕の状況を理解してくれた朔也さんは 後ろにいる誰かに僕の状況を伝えたようで 電話の向こうがザワザワと騒がしい こんなにたくさんの人が自分のために動いてくれているのかも…………と自惚れそうになる 「今からいくつか質問するけど、大丈夫?」 「ん!」 その後 響也は近くにいるか 今は監禁されているのか 外に最近出れているか 食事はできているか 暴力は振られているか などたくさんの質問をされた 「………………了解、君が最悪の状況にあるってことはわかった 尚くん……………………」 「んぅ?」 「必ず助けに行く………… もしかしたら、とても長い時間がかかるかもしれないけど……………… 必ず君を救いに行くから……………… 待っててね」 そのセリフに、受話器を握りしめながらボロボロと涙が零れてくる 助けてくれる………………たとえそのセリフが嘘だとしても………………今はそのセリフを聞いただけでも生きる希望が見えてくる 「尚くん………………」 「んぅ?」 「君にあったら……伝えたいことがあるんだ これは直接伝えたい………… もう少し……もう少しだけ、頑張って…………」 「ん!」 「じゃあ…………長電話ごめんね 必ず……助けに行くから」 プチン……と切れた電話にホッ……とため息をつく あとすこし……あとすこしで、この地獄から解放される………… 朔也さんから電話がかかってきたことがバレないように電話の履歴を消して、部屋に戻り手枷足枷を元通りはめた あともう少し、あともう少しと希望を胸にかかえながら……………………

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