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第26話

あの電話の日から……長い長い1週間を耐え抜いた……………… やっと……やっとこの地獄から解放されるのだと、嬉しさからか、涙が止まらない……………… 「…………ほんとに……遅くなってごめんね」 「だいじょうぶです…………うれしい…………」 彼に抱きついたままそう呟くと、いっそう強く抱きしめられる しばらく抱き合っていると、朔也さんが僕の体を離し、顔を覗き込んでくる 「尚くん…………話があるんだ…………」 真剣な様子の彼に、よくない話なのではないか……と緊張が走る お互いにじっ……としばらく見つめ合う すぅ…………と朔也さんが息を吸うと、決心したように僕を見つめて…………………… 「尚くん…………俺と………………つ……「朔也さん!!急いで!」 朔也さんの話の途中で、勢いよく扉が開き後輩らしき人が飛び込んでくる 「チッ……………いいとこだったのに……」 「そんなこと言ってる場合じゃないですよ! 響也がこっちに向かってるそうです まずいですよ!」 「なに?向かってる? くそっ……気づかれたか………… 尚くん、急いでここを出よう」 「はい!」 話の続きが気になったが、きょうちゃんが帰ってくると聞いてそれどころではなくなった ワタワタと手枷、足枷を外し、がくがくと震える足を奮い立たせて頑張って歩こうとした だが…………やはり日頃動いていない体は、そう簡単に動くようにはならなくて………… 「………………ぁっ…………」 「尚くん!……………………っぶね……」 「ごめんなさい………………」 「歩けないなら、そう言ってくれ………………」 力が入らないからだが、前に倒れた瞬間に朔也さんが僕の体を支えてくれる そのまま起き上がらせてくれたので、地面をゆっくり踏み締めて歩き始めようとすると…………ふわっと体が浮いた 「え、ぇえ!?」 「暴れないで、おとすよ?」 「あ、いや……えぇ………………」 朔也さんに横抱きにされた僕は頭の中がパニックになってしまったが 朔也さんは大して気にしていないようで、すたすたと歩き始めた 「朔也さん!早く!」 「わかった! ……………………掴まってね、尚くん」 「はい!…………え、なに……ふわっ!?」 掴まってね、と言われた次の瞬間には階段を駆け下り始めていて、がくがくと激しい振動が僕を襲う 頭が揺れるその感じに、気分が悪くなってしまった僕は、彼の胸にしがみつき、強く抱きつく そんな僕の些細な変化に、朔也さんはすぐ気づいてくれた 「どうした……気持ち悪い?」 そう聞かれ、素直にこくりと頷く すると、体制を横抱きから対面抱きへと変えられ、さっきよりも安定感が増した 「これなら、揺れない?」 「はい…………ありがとうございます」 「いいえ、今3階だからあと2階 頑張ろうね」 その言葉に、あともう少しで…………外に出られる………………と嬉しさから涙が溢れてきた……………… そして……………………遂に…… 僕の瞳を眩しい光が攻撃してきた……………… それは……………………とても幸せな攻撃だった……

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