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第2話

連れてこられた場所はどこかの店ではなく、少し古びた感じのアパートだった。 「あ、あの及川さん、ここは?」 「俺、今ここで一人暮らししてんの。 お前とゆっくり話がしたいと思って。 ここでなら誰にも邪魔されず、話せるだろ」 誰に邪魔されるんだろう? 邪魔をしてくる人なんて、よっぽどの事がないといないと思うのだが。 いや、てゆーか、及川さん一人暮らししていたのか。 すごいな。 何て事を考えている間に、及川さんは何も言わずスタスタとアパートの中に入って行く。 高校生で、部活とか勉強もあるのに一人暮らしなんて、料理とかも出来るんだろうな。 俺なんか料理どころか洗濯物を畳むことすらしたことないし、及川さんはやっぱすごいなと感心しながら後を追った。 2階へと上がり、及川さんがある扉の前で立ち止まり、少し離れて歩いていた俺に手招きをする。 「ここだよ、012号室。覚えといてね」 「え? あ、はい……」 何故覚える必要があるんだ? 及川さんは微笑みながら、「忘れないでよ」と言って、鍵を開けて中に入って行った。 そんな及川さんの笑みに怯みながら、俺も後に続く。 部屋の中は、一人暮らしの男の部屋とは思えないほど綺麗に片付いていて、必要最低限の家具しか置かれていない、シンプルな部屋だった。

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