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第7話

「なんだお前ら、顔スゲー赤いぞ。 もしかして本当に風邪か?」 「俺は赤くねーよ!」 「いや、日向は赤いけど、 それより王様の目の方がもっと赤いよ。 どうしたの?」 「え? あっ!」 月島の言葉に俺は慌てて顔を隠した。 目が赤い理由、そんなの言えるわけない。 及川さん…… あんたは今、どんな気持ちでいる? 俺をこんなに悩ませて、あんたは今頃大切な仲間達と、笑いあっているのか? 俺には絶対見せてくれない笑顔を、浮かべているのか…… 俺は今も、あんたのことを考えただけで、 情けない……また         涙が出そうだ 「か、影山? 本当だ、お前目ぇ真っ赤じゃん。 気付けなくてゴメンな…… どーした? 辛いことあった?」 なんだよ日向、お前らしくない、か細い声だしてんじゃねーよ…… 「王様? なんかいつもより更に変だよ? なんか調子狂う……」 そう言って月島が近付いてきて、そっと俺に触れようとする。 「っっ!」 俺は思わずその手を払い除けてしまった。 月島と日向の心配顔がぼやけそうになって、慌てて目を擦った。 「影山! 目擦んな! よけー赤くなるだろ!」 「影山……」 なんだよ月島、いつも王様って言うくせに、突然そんな顔で普通に呼ぶなよ。 こっちの方が調子狂うだろボゲェ。 俺はなんとか滲み出そうになった涙を堪えて、いつもみたいに思いっきり二人を睨んでやった。 「うっせーなぁお前ら。 昨日一晩中録画しててたまってたバレーの試合、一気に観てたからねみーんだよ! 頭に響くから、ギャーギャー騒ぐなうるせぇ!」 「ほ、本当に?」 「それ、嘘でしょ?」 「はぁ? なんで俺が嘘つかないといけねーんだよ! うるせぇぞ!」 わざとらしく片耳を指で塞いで声を大にすると、その声が聞こえてしまったのか、体育館の中から澤村さんが出てきた。 「うるさいのはお前だ影山! お前達、何騒いでんだ!? 早く来い! もう練習始まってるぞ!」 「う、ウス……」 「ハーイ……」 「すみません」 俺達は急いで体育館の中に入る。 他の部員たちはもう集まっていて、練習を開始させていた。 そこで澤村さんと菅原さんが俺の目にやはり気付いたようで、眉をひそめながら近付いてきた。 「影山? どうしたその目?」 「痛そーだな……大丈夫か?」 そんな二人の声に、他の部員達も心配顔でこちらを見ている。 やっぱり皆に心配かけちまったな。 本当に皆優しい奴ばかりだ。 一人ぼっちだった中学の時とは違うことに、思わず笑みがこぼれそうになった。 だけど、皆俺なんかを心配してくれてるんだ、笑ってないでちゃんと安心させないと。 「大丈夫ッス。 昨日録画してたバレーの試合観てて、ちょっと寝不足で目が赤いだけです!」 「なんだ、そーなのか?」 「バレーの試合観てて寝不足とか、影山らしー!」 「なんだよ、ビックリさせんじゃねーよ! ナハハハハ!」 「す、すんません……」 皆はホッとしたような顔をして、笑っている。 田中さんは俺の背中を何度も叩いて、豪快に騒いでいた。 良かった……なんとか誤魔化せたか? ホッとため息を吐いた俺の後頭部に、突然バレーボールが飛んできた。 「いってっ!?」 後ろを振り返ると、日向と月島二人だけがこちらを悲しそうな顔をしながらも睨んでいた。 「お前ら……」 そんな二人に向かって俺は、誤魔化すように飛んできたボールをぶちこんでやった。

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