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第18話
熱くて、でも優しいキス
唇をそっと離して、触れ合っていたところに触れてみる。
嬉しくて思わず笑みが溢れた。
「飛雄……もう一回キスしてい?」
及川さんが今まで聞いたことないような甘い声で、囁いてきた。
耳元で響いたその声に、顔が熱くなっていくのを感じた。
いや、でもそう言えばここ玄関だった。しかも扉開けたまま。
下手したら誰かに見られてしまうかもしれないのに、俺達はなんて大胆なことをしてしまったんだ。
及川さんは今も笑いながら、ゆっくりと俺の唇に自分のを近づけてくる。
「うぁ、え、ちょっと待ってください!」
「ダメなの? 俺、もう一回キスしたい……」
またも甘い声が耳元で囁かれて、許してしまいそうになる。
でも、ここじゃあダメだ
ドキドキしながらも、慌てて及川さんの腕の中から抜け出した。
そんな俺の行動に、及川さんは頬を膨らませ、こちらを睨んできた。
「飛雄、ずっと傍にいてくれるって言ったじゃん!
嘘だったの?」
「う、嘘じゃないです!
あんたが傍にいて良いって言うなら、いくらでも傍にいますよ俺は!」
「じゃーなんで逃げるの!?」
「ここ玄関だし、ドア開けたままだから、誰かに見られるかもしれないじゃないっすか!」
恨めしそうな目で睨んでくる及川さんに俺も睨み返してやると、小さく笑われ、頭を撫でられた。
「トビオちゃん、恥ずかしーんだ?」
「そりゃ……キスしてるとこ見られるのは、恥ずかしいですよ……
それに、ずっとくっついてるのは無理ですよ。高校違うし……
俺の言う傍にいるってのは、何て言うか……
心と心はずっと繋がってる
どんなに二人が離れていても
心は及川さんの傍にいます。
そう言う意味なんです!」
なんか言っててスゲー恥ずかしくなった!
恥ずかしさのあまり目を泳がせていると、
からかうように笑って、俺の頭を撫でていた及川さんの手がピタリと止まって、じっとこちらを見つめてきた。
恥ずかしくて早く話題を変えたいのに、及川さんは何も言わず、こちらを見つめたまま。
何ずっと黙ってんだよ! 恥ずかしいから、こっちじっと見んなよ!
心中で文句を言いながらまた睨み付けてやると、及川さんの顔が見る見るうちに真っ赤に染まっていった。
なにその顔……何か可愛い……
「も、もぉ~~……
心と心は離れられないとか、飛雄のくせに何クサイこと言ってんの……」
「は、離れられないとは言ってませんよ……
似たようなもんだけど……
それより及川さんこそ、何可愛い顔してんすか?」
「はぁ!? 何言ってんの!?」
「顔真っ赤で可愛いですよ……」
「か、可愛くないよ! 変なこと言うなバカ!」
耳まで真っ赤になって俯く及川さんを見ながら、胸がグァーーって熱くなるのを冷ますことが出来ず、俺はまた目を泳がせていた。
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