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第39話
及川side
飛雄なら大丈夫って、どーゆう意味なの??
岩ちゃんは自信満々そうにフンッと鼻をならして、何故か満足そうに笑った。
「見てれば分かるんだよ。
朝見た影山の幸せそうな顔とか、中学の時も、あいつはお前にベタ惚れだったじゃねーか」
「……え? ほ、ほ、本当に?」
岩ちゃんの言葉に、思わずニヤけてしまう顔を隠せない。
「本当に? そんなに飛雄幸せそうだった!?
そんなに俺にベタ惚れだったぁ?
ねっ、ねっ、岩ちゃん! 本当に本当に?」
「あーーーーーー本当にお前ウゼーな!!」
「ねぇねぇねぇねぇ岩ちゃん、もっと詳しく聞かせてよ!
そんなに飛雄は俺のこと大好きなの!?
ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ!!」
「あーーーーうっせーマジうるせぇー!
知らねーよボゲェ!!」
相当俺は煩かったらしい。
岩ちゃんは、眉間にシワを思いっきり寄せてがなりながら、俺の頭をボカッと殴った。
「痛いよ岩ちゃ~~ん! うへへへっ」
殴られて勿論痛かったけど、上がって行く口角を戻すことが出来なかった。
だって岩ちゃんは、絶対嘘をつかない人だから。
いつも乱暴で口は悪いけど、すごく正直者で、嘘が下手くそな人だ。
だから信頼出来るし、ずっと親友でいたいと思ってる。
そんな岩ちゃんが大丈夫だって、飛雄は俺といて幸せなんだって言ってくれるなら、自信を持っても良いと思うんだ。
「つーか、影山がそんな学校が同じってだけで、中学の時からずっと好きだったお前を捨てて、他の奴と付き合うような軽い奴だと思うか?」
「思わないよ」
「まあ、影山を好きって言う奴が沢山いるのは不安かも知れねーが、真面目な影山なら大丈夫だべ!」
キッパリとそう言いきって、自信満々な笑みを浮かべる。
岩ちゃんがそう断言してくれただけで、大丈夫だって思える。
そうだよね。
あの、及川さん大好きっ子飛雄が、俺を裏切るなんて有り得ないよね!
突然のライバル出現に、ちょっとビビりすぎたかな。
チビちゃんとメガネくんに挑発されて、冷静でいられなくなるなんて、及川さんらしくない!
そうだよ、飛雄と俺なら絶対大丈夫だ。
いくら二人が邪魔しにきても、俺達の愛の力で返り討ちにしてやる!
飛雄、何があっても絶対離さないからね……
決意を固めて意気込んだ俺に、岩ちゃんは意地悪そうに笑った。
「やっといつものムカつく顔に戻ったな」
「何そのムカつく顔って!」
「さっきの辛気臭い顔がメンドクセー顔で、今の顔がムカつく顔」
「何それぇ~? なんか両方ヤダな……
でも面倒臭いより、ムカつく顔の方がスッキリしてて、なんか良いかも」
「ハハッ、バーーカ!
まあでも俺は、お前なんかどーでも良いけどな。俺が一番応援してんのは影山だから。
影山が幸せならお前が泣こうが喚こうがどーでも良い、反対に笑って喜んでやるよ!」
「何それ! チョー酷いんだけど!
でも飛雄を幸せにするのは絶対俺だから、その心配はいらないよ♪」
「ハッ! さっきまで泣きそうだったくせに。
良く言うべ!
また影山に及川が泣いてたって言っとくか~」
「ちょっ、ちょっと止めてよ岩ちゃん!」
高らかに笑う岩ちゃんに小さくため息を吐いて、
それと同時に笑みを浮かべた。
ありがとう 岩ちゃん!
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