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第41話

「影山機嫌良いなぁ~」 「なんか良いことあったの?」 部活中山口や、田中さん達からよくそんなことを言われた。 そんなに顔に出てたか? もちろん機嫌は良い。 だって及川さんが、部活後に迎えに来るって言ってたから。 色んな人に楽しそうだとか、嬉しそうだとか言われる度恥ずかしくなる。 そんなに顔に出てるのか…… 恥ずかしいから出さないようにしてるのに、それでも言われてしまう。 「恋をするのって嬉しくて、つい顔がにやけちゃうよな」 俺の傍に近付いてきた菅原さんが、コソッと耳元で囁いてきた。 その言葉に顔が熱くなった。 「そ、そんなに俺にやけてます?」 「スゲーにやけてる……この後、及川とデートか?」 「…………」 恥ずかしくて何も言えずに俯くと、頭をポンポンと叩かれた。 「まあ、楽しんでこいよ。 影山は恋愛初心者だから色々緊張したり、分かんないことあると思うけど。 何か困ったことがあったらいつでも来いよ。 相談に乗ってやるからさ!」 そう言って恋愛ベテラン?の菅原さんが、ニカッと白い歯を見せて、頼もしく笑った。 「あ、あざっす!!」 菅原さんが味方だと本当に心強いな。 そんなことを思いながら俺は、勢い良く頭を下げた。 そんな会話をしていた俺達を、鋭い目がギロリと睨み付けていたのに、この時俺は全然気づいていなかった。 「お疲れっしたぁーー!」 そうこうしているうちに部活が終了し、着替えてから俺はチームメイトに挨拶して急ぎ足で校門へと向かった。 挨拶した時の菅原さんの笑顔に赤面してるようじゃあ、及川さんに会った時はもっとヤバイだろうな。 校門を潜り抜けて、左右を見渡す。 まだ及川さん来てないみてーだな…… 俺今、明らかにそわそわしてる。 初めてだ。 こんなに誰かを待って、スゲードキドキして落ち着かないのって。 早く及川さん来ねーかな…… 俺から行った方が良いのかな? その方が早く会えるかな? なんか全然落ち着けない。 何回も及川さんが来るであろう方向を見ては、そわそわしている。 「なんか王様、デートを心待ちにしてる女の子みたいで、気持ち悪いよ。 見てたらイライラしてくる」 「あ?」 こんな嫌みを言ってくるのは一人しかいない。 そうだよ。 及川さんに会えることが、俺にとってはスゲー待ち遠しいことなんだよ。 「月島うるせーぞ! 気持ち悪いなら見なきゃ良いだろ? とっとと帰れ!」 相手の方を見ずに返事して、ただただ及川さんの姿を探す。 すると突然顎を掴まれ、月島の方を向かされた。 「仕方無いでしょ。 王様がどうしても視界に入っちゃうんだから! ホントメーワクしてるんだけど!」 「イッテーなぁ!! 離せよ! さっさと帰れば視界に入んねーだろ!」 「そんなの無理なんだけど……」 「あぁ? なんで無理なんだよ?」 顎を掴んでくる腕を放させようと掴んだら、今度は日向が自転車を押しながらこちらに向かってきた。 「月島ーーっ、先に行くなよ! 抜け駆けは許さねーぞ!」 「んだよ? 今度は日向か…… 抜け駆けってなんだよ?」 「か、影山に言えるわけねーだろ!!」 「はぁ? んでだよ?!」 「王様が鈍感すぎるから言えないんだよ」 「??」 「ホラ、やっぱり鈍すぎるよ王様」 「まあ、それで色々助かってるとこもあるんだけどなぁ~」 「何言ってんだお前ら?」 二人の言っていることが理解出来ずに首を傾げていると、ずっと心待ちにしていた、 ずっと会いたかった人の声が俺の鼓膜を震わせた。 「と、飛雄おおぉぉおぉぉおおぉっっ!!」

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