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第42話
及川side
早く、早く飛雄に会いたい。
チビちゃん達に飛雄を渡してたまるか!
青城から烏野までフルスピード!
烏野の建物が見えてきた。
あっ! あそこに見えるのは俺の、愛しのトビオちゃん?!
ムムムっ!
飛雄がメガネくんに捕まってる?!
顔が! あれは、顔近くない?
俺は走る速度を上げて、飛雄へと手を伸ばした。
「と、飛雄おおぉぉおぉぉおおぉっっ!!」
「あっ、及川さん!!」
顎を掴まれていた手を払い除けて、飛雄がこちらを向いた。
その顔は、頬が赤く染まっていて、嬉しそうに口角を上げている。
何その顔!
くっそ可愛いんだけど!!
俺の飛雄マジ天使!!!!
そんなにおめめキラキラさせちゃって、お前は本当に俺のこと大好きなんだね!
俺は思いっきり両手を広げて、飛雄のもとへ走った。
さあっ! 俺のこの大きな逞しい胸に飛び込んでおいで、トビオちゃんっっ!!
飛雄に抱きつこうとしたら、まあ、そうしてくるだろうと分かってたけど
メガネくんとチビちゃんが邪魔するように、俺の前に立ちはだかってきた。
その後ろで飛雄は二人の行動に口を尖らせながら、首を傾げている。
あ~~~~やっぱり飛雄はニブニブだからなぁ~
二人から好意を寄せられてるの分かってないか……
そのことをちゃんと教えたら、それが俺にとってプラスになるのか、はたまたマイナスになるのかは分からない。
そんなことを考えていると、メガネくんが心底嫌そうに眉間にシワを寄せて、こちらを睨み付けてきた。
「チッ…………やっぱり来たんですね……」
うっわ……何この子、今舌打ちしたよ! 舌打ち。
本当感じ悪いんだけど。
「そりゃ来るでしょ~、だって俺は飛雄の彼氏なんだし。
ねっ、トビオちゃん♪」
ウインクして見せると、飛雄は嬉しそうに頬を赤くさせて、口をムズムズと動かしている。
あーーーー本当にくっそカッワイイっっ!!
そんな俺達を見たチビちゃんが悔しそうに顔を歪ませてから、飛雄の腕を引っ張った。
他の奴が少しでも飛雄に触れてるのを見るのは、やっぱり嫌だな……
「なあなあ影山、俺腹減った!
影山も減ってない?
坂ノ下商店に肉まん買いに行こーぜ!」
「へ? あ、まあ、腹は減ってるけど……」
「じゃあ、行こうぜ!」
自分の言葉に同意した飛雄に喜びを感じたのか、飛びっきりの笑顔を見せたチビちゃんが飛雄の腕を引っ張って歩き出した。
えっ! ちょっとチビちゃん、何ナチュラルに飛雄を連れて行こうとしてんの?!
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