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第46話

前を走る及川さんはすごく早くて、付いて行くだけで精一杯だった。 俺だっていっつもロードワークとかして鍛えたりしてるのに、まだ及川さんには全然敵わない。 ある公園に連れてこられ、俺は膝に手をつき、乱れた呼吸を整える。 でも及川さんは少し息が上がってるだけで、さほど疲れた様子もなく平然とした顔で立っている。 やっぱり、及川さんはすごいな……カッコいい。 そんな姿にも憧れ、ドキドキした…… ずっと見つめていると、及川さんが無言でゆっくりと近付いてきて、 優しく俺を抱きしめた。 及川さんの体温、耳をくすぐる吐息  優しい感触…… すべてにドキドキして、愛しかった。 「及川さん……」 「ずっと、二人っきりになりたかった……」 耳元で囁かれた言葉に、目頭が熱くなるのを感じながら、及川さんの背中に腕を回す。 「俺も……俺だって二人っきりになりたかったです」 そう言うと、俺を抱く腕に力が込められた。 「本当に? 俺、不安だよ……俺ばっかりが飛雄を求めてて、飛雄は俺のことなんてどーでも良いのかな、とか。 チビちゃん達といる方が楽しいのかな なんて考えちゃって、ずっと不安だった……」 ため息混じりの悲しそうな声に、胸が苦しくなった。 「学校だって違うし……飛雄は仲間がいっぱい出来て、すごく楽しそうだから。 せっかく両想いになれたのに、寂しいのは俺だけ? 飛雄には俺なんか必要ないの?」 「そんなことありません!! そりゃ仲間といるのも大切だけど、それでもやっぱり俺だって及川さんが必要だよ! あんたが寂しがってるのより、何十倍も俺の方が寂しくて、及川さんを求めてるんだ!!」 「いや、俺の方が飛雄を求めてるよ! 飛雄の何十倍も、何百倍も寂しくて、ずっとずっとお前と二人っきりになりたかった! お前に触れたかった!!」 「俺だって、今 及川さんに触れられていることが、こんなにも嬉しくて、胸が熱くなって、それで……それで……俺」 次から次へと涙が溢れてきて、嬉しさとか愛しさとか色んなものが頭の中で入り交じって、胸が苦しくなって……後は言葉に出来なかった。 ただただ及川さんに泣きながら、抱きつくことしか出来なくて。 そんな俺の赤くなった耳にチュッとキスを落として、優しく頭を撫でてくれる。 その甘い二つの感触にますます胸が高鳴りだし、俺の心は鷲掴みにされたような感覚に包み込まれていく。 「学校違って寂しかったのは俺だけじゃなかったんだね…… 飛雄もずっと俺を求めてたんだ。 大好きなのは俺だけじゃなかったんだ」 本当に嬉しそうな満面の笑みを浮かべた及川さんが少し体を離し、優しい潤んだ瞳で真っ直ぐに見つめてくる。 そうだよ……大好きなのはあんただけじゃない。 だって、俺達は、 ずっとずーっと前から両想いで それから…… 「学校違っても、どんなに離れてても、 心と心はずっと繋がってて、ずっと一緒だから。 どんなに二人が離れていても心は及川さんの傍にいます…… って、俺言いましたよね。 だから、不安になることなんて何もない。 俺は、ずっとあなたの傍にいて、あなたも俺の傍にずっといてくれるから 大丈夫!」 「……飛雄……ありがとう。 離れてても心は、ずっとずっと一緒、だね……」 「はい!」 「……好き」 柔らかくて甘いキスをくれるのは 嬉しくて幸せだと感じさせてくれるのは この先、ずっと傍にいてくれるあなただけです ……及川さん

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