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第48話

及川side 「岩ちゃん俺さー、いっつも飛雄の照れ顔見ながらオナニーしてんだ」 「ブッハッッッッ!!!! 何言ってんだクソカスボケ川あぁぁぁぁああぁあぁ!!」 四時間目が終わってチャイムが鳴ったと同時に俺は、立ち上がってすぐに岩ちゃんの教室へと直行した。 岩ちゃんの前の席の椅子があいてたから勝手に借りて、朝イチでコンビニで買ってきた牛乳パンを袋から出しながらボソリと呟く。 その言葉に岩ちゃんは、食べていたものを大袈裟に吹き出した。 そーいやー、前も飛雄の話で岩ちゃん吹き出したっけ? 汚ないなぁ~もお~ 「ねーねー、ティッシュ持ってない? あったらちょうだい」 こっちをチラチラ見ていた、隣の席の女子に笑いかけて、手を出す。 「お、及川くん! あ、あ、あるよ!  どーぞ!!」 「ちゃんとティッシュ持ってるんだ。 さすが女の子だね。ありがとう♡」 女子は、顔を赤くしながらティッシュを出してくれた。 笑顔でそれを受け取ると女子は、キャーなんて可愛い声を出しながら、友達とはしゃいでいる。 この子も俺に気があるのかな? ごめんね~、俺は飛雄一筋だから君の恋叶わないや。 なんて思いながらもらったティッシュで机を拭こうとしたら、岩ちゃんにお茶のペットボトルで叩かれた。 「影山がいるのに、別の奴にヘラヘラと愛想を振り撒くな!」 「痛いなぁ~もおー 岩ちゃんが吹き出したものを拭くためにティッシュもらっただけでしょ?」 「うるせーボゲェ! つーか、さっきのふざけた話はなんだ? 答え次第でまたぶっ飛ばすぞ」 滅茶苦茶不機嫌そうな顔で睨まれ、俺は頭を擦りながら自然と上がる口角をそのままにした。 「いや~、付き合いだしてからよく俺の方から写メを送ってたんだけど、たまには飛雄も写メちょうだいよってお願いしたんだ。 もちろん飛雄の写メね♪ そしたら、これを送ってきてくれたんだ!」 にやけながら飛雄がくれた写メを岩ちゃんに見せる。 その写メは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして、唇を尖らせたカワユイ飛雄と、何故か一緒に写ってる笑顔のチビちゃんとメガネくん。 もちろん二人の目は笑ってない。 その写メを見ながら不機嫌顔のまま、岩ちゃんがもっと深く眉間にシワを寄せた。 「んだよ、10番と11番も一緒じゃねーか。お前よくそれでオナれるな。 変態ヤローめ!!」 「変態とか言わないの! オナる時は飛雄の顔をズームにしてヤってるから大丈夫♪」 親指をたてて笑うと、やっぱりまた叩かれた。 「仕方ないじゃん、最近飛雄とご無沙汰なんだからさ~」 「へぇ~、お前の事だから、嫌がる影山を無理矢理にでも押さえ付けて、毎日のようにヤってンのかと思ったわ」 「さすがに毎日は無いでしょ。部活もあるしさ……」 本当は毎日でも飛雄を抱きたいよ。 でも、良いんだ…… 前まで、飛雄を忘れようとして色んな女の子達とヤりまくってた、性欲だけは満たされてた昔よりずっとずっと今の方が充実してる。 全然セックスしてないけど、 それでも飛雄とメールや写メ交換したり、一緒に帰れるだけで、 それだけで今ものすごく幸せだからさ!! なんて考えてたら、無性にまた飛雄とメールしたくなった。 「い~~わちゃんっ! こっちむ~いてっ!」 「あぁん?」 未だに眉間に深くシワを寄せたままの岩ちゃんが、面倒臭そうに俺の方を向いた。 そこで素早くスマホをカメラにして、カシャッと岩ちゃんの不機嫌顔を撮った。 「あぁ?! テメークソ川! 何撮ってんだボゲェっ!!」 「この写メ、飛雄にお~くろっと!」 何て言いながら、飛雄に岩ちゃんの写メつきメールを送った。 飛雄、岩ちゃんのこのすんごい不機嫌顔絶対笑うぞ~♪ 「はぁ? ざけんなよクソ川! でもまあ、影山ならいっか」 「え~? なんで飛雄ならOKなの?」 「影山はお前みたいに面白がって、他の奴に見せたりしないだろーからな。 つーか、早く消せよボケ」 「やーーだよっ! これマッキー達にも見せよ~っと」 「おいテメーざけんなよ!」 二人でギャーキャー騒いでいると、突然頬に何かが当たった。 不思議に思って隣を見ると、元カノだった子が笑顔で俺の方にお菓子を差し出してきていた。 今はもう普通の友達になっている。 「徹ぅ~♡ これ期間限定のスイートポテト味なんだ。 食べるぅ?」 「へぇ~、美味しそうだね~。ちょうだい」 「ハイ、あ~~ん♡」 「あ~~ん」 俺は何の躊躇も無しに口を開けて、元カノが差し出してきたものを食べた。 「おいし?」 「うん。おいし~ね、これ! 期間限定? 俺も買おっかなぁ~」 「こんのクソグズ川ぁ!!」 にこやかに元カノと話していると、お茶のペットボトルで3発殴られた。 これは結構痛いよ岩ちゃん! 「お前、影山が居んのに、何菓子食わせてもらってんだ! どうせ食うなら、受け取って食えよボゲェ!!」 「え~~、いーじゃん別に~友達なんだからさ。浮気してるんじゃないんだし」 「ざけんな! この事影山に言うぞ?」 「えーーーーなんでさ! わざわざ言わなくても良いじゃん!」 「別に言っても良いだろ? 浮気じゃね~んだろ? ただ元カノに菓子食わせてもらってたって言うだけだ」 「えーーーー! 岩ちゃんなんなのさ、俺達のこと応援してくれんじゃなかったの!?」 「お前じゃない、影山の応援だけをするんだ!」 またもギャーキャー騒いでいると、他の女子達がワラワラと近付いてきた。 「ちょっと! 影山って誰ぇ?」 「あーー……影山は及川の恋人だよ」 「えーーーー! つい最近前カノと別れたばっかだったのに、もう新しい彼女出来てんのぉ?!」 「さすが及川くん。早すぎぃ~!」 「今の恋人は俺の初恋の人なんだよ~♡」 「えぇーーーー!? 何それぇ! 勝ち目無さそう! 悔しい~!!」 「アハハ~皆ごめんね! もう、その人が最後の恋人だからねぇー♪」 「ウソーーーー! なにそれぇ~!」 悔しそうに騒ぐ女の子達に笑ってウインクする。 するとある女子が、俺の服の裾を遠慮がちに引っ張ってきた。 「でも、私達とはずーっと友達だよね?」 「アハハ、うん。そーだよ! ずっと友達ね♪」 「キャー嬉しぃ~~、私の期間限定じゃないけど、あげるぅ~! ハイ、あ~~ん♡」 「わぁ~~ありがとう! あ~~ん」 「あーーズルい私のもあげるぅ!」 嬉しそうに騒ぐ女の子達と俺も一緒に騒ぐ。 だって友達なんだし、これぐらい別に良いでしょ? その様子を見ていた岩ちゃんの鉄拳が、俺の頭にクリーンヒットしたのは言うまでもない。

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