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第49話
ヤバイかも……なんて思ったけど……
だからと言ってそれで及川さんと早速ヤるってのはおかしい気がする。
そ、それに、Hするの……
攻めの方は良いんだろーけど、受けの方はやっぱり死ぬほど恥ずかしい。
変なとこ触られたりするし……同性だけど、裸を見られるのは恥ずかしい。
風呂に入るとか、自然な動作なら良いんだけどな。
「やっぱ、そう言う雰囲気にならねーと、なかなかヤろうって気分にはなれねーよな……」
でも、付き合ってるのに放課後一緒に帰って、メールだけってのはやっぱり駄目だよな……
付き合ってる二人にしか出来ないことをしたい。
普通恋人同士ってH以外に何するんだろ?
及川さんが初めての恋人だから何すれば良いのか分かんねぇ……
「うぬん……どーすれば……」
ずっと考えてたら、頭の中がグッチャングッチャンになって、訳が分からなくなった。
もうこれはバレーどころじゃない。
楽しみにしていた日向達とのバレーを断り、(滅茶苦茶文句言われたけど)
俺は外に出てブラブラと校庭や、グランドを歩き回った。
それで、たまたま行き着いてしまった部室の前で立ち止まる。
こう言うこと考えててもやっぱり俺は、バレーが好きなんだな……
なんてため息をついてから、何気無しに部室のドアノブに手をかけたその時、中から。
「ん、んぅ……はぁ、んんぁ……ん、ふ、ダメ……うぅ……」
「え?」
なんだこの声は?
恋人同士のHのことを考えてたから、耳が変になったのか??
なんて思いながらも中が気になって俺は、恐る恐るドアを開けた。
そ、そこには……
「う……んん、ふぁあ………………あ…………」
「えぇ?」
「あっ!!!!!」
菅原さんと澤村さんがキスをしている姿が、目の中に飛び込んできた。
「うわああぁぁぁぁあぁあああっっ!!!!
す、す、すす、すんませんんんっ!!」
俺は恥ずかしくて恥ずかしくて、その場から早く立ち去りたくて
踵を返し、全力疾走した。
「あぁーーーーーーーーー!!
か、影山ぁぁああぁ!!」
一目散に走って逃げようとする俺を菅原さんがすんごいスピードで追い掛けてきて、襟を掴んできた。
「すんませんすんません! 俺何も見てないっすよ!!」
「なんですぐバレるウソつくかな?
そんなに逃げないでよ……
次会う時気まずいって言うか、俺達が付き合ってんの影山も知ってるだろ?
そんなにビックリするなよ」
「いや、しますよ!
つーか、誰が来るかも分かんねー部室でキスしないで下さい!!
来たのがたまたま俺だったから良かったけど、知らない奴だったらヤバかったっすよ?」
「……それは反省しているよ…スマン……」
後から追い掛けてきた澤村さんが、申し訳なさそうに謝ってくる。
そんな澤村さんに菅原さんは大きく目を見開いて、慌てたように首をふった。
「なんで大地が謝るんだよ!」
「だって俺が我慢出来なかったから!!
お前は駄目って言ったのに、俺が我慢出来ずに無理矢理……」
「無理矢理とか言うなよ!
俺だって駄目とか言いながら、本当は大地としたかったんだから!
だから、謝る必要ないべ。俺も大地が欲しかったよ……」
「スガ……」
「大地っ!」
「あぁーーーーーーもぉーーーーそう言う会話は人がいないところでやって下さい!」
菅原さんの目がどんどん潤んできて、見つめ合い、手と手を握りあった二人を見て俺は、顔を赤くさせながら二人の間に入った。
「あ~~~~ごめんごめん、つい二人の世界に入っちゃった」
「俺がいること忘れないで下さい……
二人は本当に仲が良いですね。羨ましいです……」
俺達だって仲は良いだろうけど、やっぱり初めてだから迷いだらけだ。
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