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・第60話・

「っ! ……いった…………」 「ハァ、ハァ…やめて……止めて下さい及川さん……」 微動もせず、俯いているあなたは今どんな顔をしているんだ? 分からない。分からないから不安になる。 「お前は……」 長い沈黙の後、やっとこちらに顔を見せた及川さんの瞳は、獣のような恐ろしい光を放っており、俺の恐怖を掻き立てた。 「あの子の所に行くって言うの!!?」 「なっ……何言ってんだ…あんた……?」 あの子? 新藤さんのことか? どうして今新藤さんが出てくるんだよ? 俺はただあんたにそんな怖い顔をしてほしくなくて…… 「絶対許さないよ 飛雄。 逃がさない……」 低く、唸るような強い声を発してから、及川さんは俺の両手首を引っ掴んで、ベットに縫い付けるように押さえ込んできた。 その掴む腕の強さに、手首と心が痛む。 「い、や及川さん! 放して下さい!!」 「黙れ飛雄!!」 「ヤダ、ぁ、んむぅっっ!」 さっきよりもさらに乱暴に唇を塞がれ、痛く舌を吸い上げられる。 クチュグチュと音をたてて貪るように。 「んんぁ、いっ! んんっ、ふぁ……んうっ、ふっ、ぅ……」 嫌だ! 苦しいよ及川さんっ! 止めろ 止めろ 「んんんっ! ふぁぁ、んぅんうぅっっ!」 何度も 吸い上げて 吸い上げて 吸い上げて…… 苦しさに視界が白くボヤけてきた…… クラクラして……舌と舌がキツく絡み合う感触と、濡れた顔にかかる及川さんの吐息が、 何処か別の何かに与えられた物のように感じるようになった時、やっと及川さんが唇を解放した。 「ふあぁ……ハァ…ハァハァ…ハァ………」 頭がクラクラして、正常に働いてくれない。 何も考えず、ただ荒い息を吐き続けていると、突然胸に痛みが走った。 「いっ! あぁ……お、いか……」 いつの間にか着ていた服が捲り上げられていて、胸の先に歯をたてられていた。 「あ……イタッ! や…めろ……んぅ、及川さ、ん……つぁ、ぁ!」 身体を捩って逃れようとするが、逃がさないと言わんばかりに強く腰を掴まれる。 歯をたてては、舌先で弄られ続ける。 痛くて、でも甘い刺激を与えられ、身体が熱く、痺れてくる。 「逃がさない……絶対……」 低い声でそう呟いた及川さんは、腰を掴む手に力を入れて爪をたててくる。 「いっ! ……は…ァ……あ」 その痛みに顔を歪めてつい悲痛の声を出してしまうと、彼は態と更に強く爪をたてたまま手を動かした。 ジリジリとくる痛みに、ギュッと瞼を閉じて耐える。 「飛雄は俺のだから、沢山傷付けても良いよね。 梓ちゃんに見せられない体にしてあげよっか?」 「い……は、うぅ……な、んで新、藤さんが出て、くるんで、すか? い、やです…こんな、の…… や、めて、下さい……」 「惚けないでよ……分かってんだから」 俺の訴えに冷たい瞳を向けてから、また胸へと顔をふせてきた。 たっぷりと唾液を含ませた口内に、胸の尖りを迎えこまれる。 熱く濡れた感触に、これから来るであろう婬靡な刺激を気持ちとは裏腹に身体は待ち望んでいた。 ぷっくりと膨れた尖りを舌で押し潰すようにつつかれ、チュクッと吸っては舌先で撫でられる。 もう片方は、円を描くように捏ねられている。 「う、あぁ……く、やめ、て、くだ、んあっ!」 及川さんの髪を掴んで止めるよう言おうとしたが、その言葉を封じるように尖りを甘噛みされ、強くつねられた。 それを同時にヤられると、ビクビクと体が震え反応してしまう。 「んっ……はぁ…あっ、うっ……ぅ…あぁっ」 何度も甘噛みをされ、キツく強く捏ねられていると、だんだん下腹部が熱くなってくる。 そのことがバレたら、きっと今の及川さんは酷く痛く触ってくるだろう。 でも、刺激される度身体が反応してしまい、快感を求めてひくついてしまう。 バレたくない、バレたくないのに熱くて、熱すぎて…… 無意識にその熱を逃がそうと、足を擦り合わせてしまう。 そんな俺の行動に、及川さんはニヤリと思いっきり意地悪く口角を上げた。 「あれれぇ~~? トビオちゃんど~したのそこ? すごい盛り上がってるよぉ」 楽しそうに笑いながら及川さんは、欲望の方へと手を伸ばし、ズボンの上から強く握った。 「んあぁっ!!」 「アハッ! いい声だね…… トビオちゃん、もっと聞かせてよ」

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