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第68話

最初は確かに及川さんのバレーを尊敬してて、あんな風に出来るようになりたいって思ったけど。 自分には冷たいくせに、周りの後輩には優しくて、それを羨ましく思うようになってて…… 自分のこともちゃんと見て欲しい。 他の奴等みたいに、優しく笑って認めて欲しいって思うようになった。 及川さんと楽しそうに話す先輩たちや、岩泉さんのことも羨ましいって思ったし。 女子達に告白されてるとこを見るのもモヤモヤしたし。 告白出来るのが羨ましいってやっぱり思って…… 気が付いたら、及川さんのこと本気で好きになってたな…… 「俺、ずっと見てましたよ……バレーじゃない、及川さん自身を…… 部活の時だけじゃなくて、休み時間の時とかに、及川さんが友達と廊下歩いてるのとか目で追ったり。 女子に呼び出されて、告白されてるの見た時にモヤモヤしたりとか…… お、俺の初恋も及川さんなんで……」 今度はこっちが赤くなってるな、絶対。 すごい恥ずかしいなこれ……スゲー顔が熱い もう恥ずかしすぎて、思わず顔を下げた。 しばらく俯いて歩いていると、隣を歩いていた及川さんが立ち止まった。 不思議に思って、赤い顔を見られたくなかったけど振り返った。 「お、及川さん?」 「お前……」 俺の目に顔を真っ赤にして、ぷるぷると震える及川さんが映った。 なんだよ、その反応 なんか可愛いかも…… 「あーーーーもぉーーーーなんでお前はそんなに可愛いの!!」 なんて大きな声で叫んでから、突然抱きついてきた。 ギューーーーっと力強くて苦しい。 「あ、ちょっ! 及川さん、ここ外ですよ!!」 「仕方ないじゃん、お前が可愛すぎるのが悪いんだよ! もぉーーーー本当に飛雄天使!!」 「へ、変なこと言うの止めてください!」 本当に嬉しそうな顔をして、俺を抱きしめてくる。 幸い朝早くて、周りには誰も居なかったから良かったけど。 「抱きしめたぐらいであんなに嬉しそうな顔したり、俺が隣にいないぐらいで、裸のまんま泣きながら探したりしてさ! どんだけお前は俺のこと大好きなの!?」 裸のまんま泣きながら探してたことは、早く忘れて欲しい。 てゆーか、そーだよ 俺は、あんたのことあり得ないぐらい大好きだよ!! 人のこと可愛い可愛い言うけど、 俺にとってはあんたの方が可愛くて、それだけじゃなくやっぱり男の俺から見てもカッコ良くて。 だからモテるんだよなこの人。 キスされたことは嫌だったけど、新藤さんがまた及川さんを好きって言い出さなくて、 俺の方を好きって思ってくれて良かった。 及川さんはスゲーモテるから、一人でもこの人を好きって言う人が減って良かった。 俺は大丈夫、いくら新藤さんに好きって言われても、絶対靡かないから。 それだけあんたのこと好きだから。

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