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第77話
及川side
えっ、一緒にご飯?
嫌すぎるんだけど……なんでライバルなんかと一緒にご飯なんて食べなくちゃならないの?
梓ちゃんいったい何考えてるの?
「ねぇ、いーでしょ徹! 久しぶりに一緒に食べよーよ!!
とびおのこと色々聞かせてよ~」
なんでライバルである梓ちゃんに、飛雄のこと教えないといけないの?!
自分に不利になるようなことを易々とするバカが、この世界のどこにいるってゆーの!
バカにしないでもらいたい!
「嫌だよーーだ! べーーーー!
なんで敵の梓ちゃんと一緒にご飯食べないと──グフぁッ!」
「もう終わったとはいえ、元カレと敵同士になるなんて、傷付くのはお前だぞ新藤!
影山のことは諦めた方がいい」
あっかんべーをしていた俺の頬を殴るように押し退けて、岩ちゃんが本当に心配そうな顔で梓ちゃんを見つめている。
あれれ? 親友である俺の心配じゃなく、ライバルの梓ちゃんの心配しちゃうの岩ちゃん?!
なんなのそれ、酷くない?
そんな真剣な言葉に梓ちゃんは、眉を下げて笑った。
「傷付いたとしても、諦められないほど好きになったって言ったら?」
そう言って明るく、でもどことなしか悲しみを含んだような笑顔に、何故か岩ちゃんも悲しそうな顔をした。
なんで、二人ともそんな顔を?
「新藤……お前…もしかして……」
「諦められたら、とっくに諦めてるの……
でも、心配してくれてありがとう岩ちゃん」
「そうか……」
「梓ちゃん……そんなに飛雄を?」
どうして? 飛雄とは昨日あったばっかなのに、傷付いても、諦められないほど好きとかどうして言えるの?
俺は、飛雄のこと本気だよ。
ずっと好きだった初恋の人。
二年たっても、他の恋人を作っても忘れることが出来なかった。
ずっとずっと好きで、これからも大切な人なんだ。
昨日会ったばっかの、一目惚れみたいなあやふやな気持ちなんかに絶対負けない。
負けるわけない!
「飛雄は渡さないよ……
今まで沢山悩んで、梓ちゃんや沢山の人達を傷付けてきた。
本当に最低だったって分かってる。
それでも、だからこそ、飛雄とは離れられない。
アイツは俺が絶対幸せにするって決めたんだ!」
あの時の飛雄の涙で、必死な想いに触れたことで、
そう強く心に誓ったんだ。
「飛雄は俺のだから!
絶対誰にも渡さない!!」
真っ直ぐ梓ちゃんに自分の気持ちをぶつけてから、俺は彼女の横を通り抜けた。
女だろうが男だろうが、負けない。
離さないから!
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