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第78話

及川さんって、どんな匂いがするんだろう? フェロモンとか、そんな難しいの分かんねーけど。 きっとムラムラする匂いをフェロモンって言うんだ…… 及川さんからもフェロモンとかが出るのか? 好きな人の匂い=フェロモン 及川さんの匂いは、俺の好きな匂いなのかな? なんてこんなことを、今日はずっと考えてる。 日向のせいで。 日向が突然フェロモンとか難しい言葉使うから、色々わけ分かんなくなっただろーが! つーか、ずっと及川さんの匂いのこと考えてるなんて…… 俺ってもしかしなくても、変態? クッソォーーーー……全部日向のせいだ。 俺の変態な考え事のもとを作った人物日向は、ずっと不機嫌な面をしている。 なんでそんな不機嫌そうなんだよ? なんか腹が立ったから、午後練中にボールを日向にぶつけてやったら、めちゃくちゃ怒ってきやがった。 「何怒ってんだボゲェ!」 「話の途中だったのに、お前が突然メール止めるから!!」 「あぁ?! 先生に携帯没収されたらどーするんですかゴラ? どうせ、大した話なんてしてなかったんだから、止めてもいーだろーが!」 「あれが大した話じゃないだとぉ?! 俺にとっては大事な話だったんだ! それをお前のバカな頭が全て台無しにしたんだろ!!」 「バカな頭とはなんだゴラ!!」 「ちょっとバカコンビ! ちゃんと練習しないと、ホラ……」 「「あぁ?! バカコンビだとぉ!? ……あ……」」 日向と練習中にでかい声で堂々と言い合いしていたら、月島が俺達の腕を引っ張って、ある方向を顎で指した。 二人揃って文句を言いながらもその方向に目線を向けると、そこには苦笑いをした菅原さんと、どす黒いオーラを放ちながら目だけ笑ってない澤村さんが仁王立ちしていた。 「キャプテン、メッチャおこだ……」 「お前が下らねーことで怒るからだろ?」 「何が下らないんだ!! 俺にとっては本当に大切な話だったのに、お前はぁーーーー!!!!」 「んだゴラ! やんのかゴラ!!」 「ちょっと! 本当にバカだね君達! 澤村さんこっち来たんだけど!」 「あっ!!」 「アワワっ! キャプテン、コイツが悪いんですよ!」 「ほぉ~~、そんなに話したいなら 外に出てろ!!」 ガシィッと、澤村さんに頭を掴まれて、体育館から追い出された。 本当に最悪だ…… この後、外でまた日向と言い合いして、結局練習に参加出来なかった。

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