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第79話
部活が終わり、いつも通り日向と月島も何故か一緒に、校門前で及川さんを待つ。
相変わらず日向は今も、ムスッとした顔をしている。
しばらくしてから、ニコヤカに手をふりながら及川さんが烏野まで迎えに来てくれた。
好きな人が自分に会いに来てくれるのは、毎日のことでもやっぱり嬉しい。
しかしやっぱり気になる……
及川さんの匂いってどんな匂いだろ?
なんて考えながら三人が歩き出したのに、俺も続いて歩き出す。
「そう言えばチビちゃん、今日は飛雄に変なことしなかった?」
「してないです……」
「あれ? 何か機嫌悪い?」
「王様と日向さっきまで喧嘩してましたから」
「へぇ~~……じゃあ、ずっと喧嘩しててくれたら助かるなぁ~」
「…………うるさいですよ…………」
「うっわ……マジでチビちゃんおこだ!
そのどす声こっわぁ~~い!」
及川さん……好きな人の匂い……
俺の好きな匂い、なのか?
「変なことと言えば今日日向、王様の着替え姿ジーッとイヤらし~~目でずっと見てましたよ」
「おい月島! ヨケーなことゆーな!!」
「飛雄のお着替えシーンをヤらしい目で見てただとぉ!!」
「イヤらしい目って! そんな目してません!
ただ俺は……朝大王様が変なこと言うから!」
「い~い~わ~け~し~な~い~~!
飛雄っ! やっぱりチビちゃんは危険だよ!!
それでなくても学校違っててお前のこと守りにくいんだから、自分の身は自分で守んなくちゃだよ!!」
今及川さんスゲー近くにいる……
どんな匂いだ? いい匂いするか?
「ちょっと、飛雄聞いてる?!」
「完全に自分の世界に入ってますねぇ~王様」
及川さんからフェロモン出てんのか?
もしかして、俺が気づかぬうちにフェロモン出てるから、だからセックス中にムラムラするのか??
「飛雄? おーーい!!
及川さんを無視するなんて、生意気だよー?」
及川さんの匂い……ヤベェ、スゲー気になる……
どんな匂い?
ちょっと嗅いでみてもいい、よな?
な、なんか変にドキドキしてきた……
俺はサッと及川さんの後ろの方へと近付き、背中に鼻を寄せて、スンスンと匂いを嗅いでみた。
「えっ!? ち、ちょっ、ちょっと、飛雄?!」
「王様!!」
あぁーーーー何も匂わねぇ!
及川さんが無臭なんじゃない!
緊張しすぎて鼻が上手く働いてくれないんだ!
なんて思いながらも、必死に匂いを嗅ごうと鼻をスンスン動かしていると、突然何かに勢いよく引っ張られた。
「おわっっ!」
「お前何、大王様の匂い嗅いでんだよ!
影山のバーーカ!!」
キッと眉をつり上げて、顔を顰める日向。
その側で及川さんが、これでもかと言うほど顔を真っ赤にして、こちらを見つめていた……
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