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第83話
及川side
好き……
可愛くて、好きで好きで堪らない
飛雄を抱きしめて、キスして、沢山愛してあげたい……
触れたい
昨日、沢山傷付けてしまったから
今日は優しく、飛雄がしてほしいこと全部して、
一番の気持ちいいを感じてもらいたい。
好き……飛雄といると幸せになれる。
飛雄にも俺と一緒に、傍にいるこの瞬間が、幸せだって思ってほしい……
ねぇ、好きだよ 好きだよ飛雄
早く 抱きしめたい……
体を洗ってる時間も惜しくて、急いで
早く飛雄のとこ行きたい。
適当に体を拭いて服着て、俺は走って寝室に向かった。
「飛雄~~お待たせ~」
待ってくれてる。俺が声を掛ければ恥ずかしそうに可愛い顔で、もじもじしながら俺を見つめてくれる飛雄が……
……いなかった
「……ハイ」
こっちを全然見てくれず、俺じゃなくて携帯ばかり見つめてる。
「飛雄? 何してんの?」
「メールです!」
怒っているような強めの口調
俺から見える飛雄の顔は横顔で……その横顔も怒っているように見える。
でも、
どことなしか楽しそうで……
誰と? お前は、及川さんを見ないで、誰と楽しそうにメールをしてるって言うの?
でも飛雄は、メールするのあんまり好きじゃないみたいだし。
及川さんとのメールも、2、3回やり取りしたらすぐ終わっちゃうぐらいだから、飛雄はメールするの苦手なんだと思う。
だから、今やってるメールもすぐ終わるよ!
「…………あ、そう……」
なんて考えながらも複雑な気持ちは消えなくて、俺は早く終われと何度も心の中で祈りながら、ドライヤーで濡れた髪を乾かしてた。
ピロン♪
ピロン♪
ピロン♪
なかなか終わらない、何度も鳴る飛雄の携帯の受信音。
そのメールに、直ぐ様返事を打つ飛雄。
ねぇ、及川さんもう髪、乾かし終わったよ。
いつまで……そんな楽しそうに、誰とメールしてるの?
「……トビオちゃ~ん?」
恋人を呼ぶ声が、波打つ……
返事はない
ピロン♪
また、受信音……俺を見てくれないのに、メールはすぐ返す。
及川さんとのメールはそんなに続いたことないよね?
多くて、4、5回……
そいつとのメールを、恋人の目の前でどれだけ続けるつもりなんだ飛雄
「飛雄」
もう一度、愛しい名前を呼ぶ。
返事はなくて
何これ……こっちだよ……
こっち、こっち見てよ
「と、飛雄!」
こっち見て、見て、見て見ろ見ろ、見ろよ
こっち見ろよ 飛雄!!
気が付いたらもう俺の手は、飛雄の腕を掴んでいて。
携帯を払い除けていた。
固い携帯があたって、痛む手の甲……
どーでもいい
大きく思いっきり目を見開き、俺を真っ直ぐ見つめてくる愛しい愛しい、飛雄。
飛雄
飛雄
「飛雄……俺の方見てよ」
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