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第93話

及川side 飛雄が好きすぎて、最近 全然余裕がない…… 年上らしく余裕を持った、カッコいい彼氏を目指してるのに……なんでかカッコ悪いとこばっかり見せちゃう。 もっと飛雄に、 頼りにしてます! ずっと付いて行きます! 大好きっ♡♡ って言わせたいのに…… どうしたらカッコ良く、飛雄をメロメロに出来るんだろ? 昨日も余裕なくて携帯払い除けちゃったり、飛雄にチビちゃんとメールしないとか気を使わせちゃうし。 本当、カッコ悪い…… もっとカッコ良い、何があっても動じない余裕のある男にならないと、飛雄に愛想尽かされちゃう! なんて考えながら歩いてたら、いつの間にか女の子達に囲まれてた! 「及川く~ん! 部活お疲れ様♡ この後、一緒に遊ばない?」 いつもは早く飛雄のとこに行けるよう、見つからないように俊敏に動いて学校から出るけど、 今日は考え事してたからうっかり囲まれちゃった! もぉ~~~~モテるって大変! 飛雄にだけモテたいよ。 早く、早くここからぬけ出して、飛雄に会いに行きたい! 早くしないとメガネくん達の魔の手が飛雄にぃ! 「あー、恵子ちゃんも部活お疲れ様~ あー、この後俺、行くとこが──」 「及川くん、私とも遊ぼ!」 「愛ちゃんゴメンね。この後行くとこあるんだ」 「徹くんそんなこと言って、最近全然遊んでくれないじゃん!」 「そーそー、久し振りにカラオケ行こっ!」 仕方ないじゃん言っちゃあ悪いけど、君達より飛雄といる時間の方が大切なんだから。 「でも、この後は用事があるんだ、ゴメンね……」 「だーめぇ~~~~! 今日こそは絶対付き合ってくれなきゃおこだよ!!」 「え~~、おこなの!? 困ったな……」 女の子を泣かしたり怒らしたりすると、後がめんどくさいからなぁ~……泣かした~って周りから責められるし。 「ねぇ~~美結とも遊ぼ~よ~!」 「う~ん、でもね……」 「あの、あのっ! 及川先輩っ! わっ、私ともっ!」 「及川先輩! ちょっとお話があるんです! 聞いてください!」 「わっ、私もっ!」 「えっ……いや、俺はこれから……」 お話をしている暇はないんです! 俺は早く飛雄とイチャイチャ遊びたいんだよー! 「ちょっと! あんた達うるさいわよ。 徹くんが困ってるでしょ? 徹くんは皆のよ!」 俺は飛雄ので、皆のじゃないんだよ! 困ってるでしょってその通りだけど、君にも困ってるんだよ!? そんな俺の気持ちには気付かずに、女の子達は俺の手などをグイグイ引っ張ってくる。 あーーーー痛い! モテるって全然良いことない! イケメンって、何かと良いことも沢山あるけど、やっぱり好きな人にだけ求められればそれで良いよ! そりゃ、モテない男子達が悔しがるのを見て、優越感に浸るのも良いけどね☆ 「ねぇ~~、徹くんカラオケ行こ~よぉー!」 「遊ぼ遊ぼ遊ぼ!!」 「俺この後用事あるんだよ本当に!」 「私達と、その用事、どっちが大切なのぉ!」 飛雄に決まってんでしょ!! でもそんなこと言ったら、泣いちゃうかもだし……もぉ~~どーすればいいのぉ!? そこで新たな声が、後ろから響いた。 「おいお前ら! ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーうるせーぞボゲェ!!」 あっ! この声は、俺の女神様のお声だ!!

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