94 / 345
第93話
及川side
飛雄が好きすぎて、最近 全然余裕がない……
年上らしく余裕を持った、カッコいい彼氏を目指してるのに……なんでかカッコ悪いとこばっかり見せちゃう。
もっと飛雄に、
頼りにしてます! ずっと付いて行きます! 大好きっ♡♡
って言わせたいのに……
どうしたらカッコ良く、飛雄をメロメロに出来るんだろ?
昨日も余裕なくて携帯払い除けちゃったり、飛雄にチビちゃんとメールしないとか気を使わせちゃうし。
本当、カッコ悪い……
もっとカッコ良い、何があっても動じない余裕のある男にならないと、飛雄に愛想尽かされちゃう!
なんて考えながら歩いてたら、いつの間にか女の子達に囲まれてた!
「及川く~ん! 部活お疲れ様♡
この後、一緒に遊ばない?」
いつもは早く飛雄のとこに行けるよう、見つからないように俊敏に動いて学校から出るけど、
今日は考え事してたからうっかり囲まれちゃった!
もぉ~~~~モテるって大変!
飛雄にだけモテたいよ。
早く、早くここからぬけ出して、飛雄に会いに行きたい!
早くしないとメガネくん達の魔の手が飛雄にぃ!
「あー、恵子ちゃんも部活お疲れ様~
あー、この後俺、行くとこが──」
「及川くん、私とも遊ぼ!」
「愛ちゃんゴメンね。この後行くとこあるんだ」
「徹くんそんなこと言って、最近全然遊んでくれないじゃん!」
「そーそー、久し振りにカラオケ行こっ!」
仕方ないじゃん言っちゃあ悪いけど、君達より飛雄といる時間の方が大切なんだから。
「でも、この後は用事があるんだ、ゴメンね……」
「だーめぇ~~~~! 今日こそは絶対付き合ってくれなきゃおこだよ!!」
「え~~、おこなの!? 困ったな……」
女の子を泣かしたり怒らしたりすると、後がめんどくさいからなぁ~……泣かした~って周りから責められるし。
「ねぇ~~美結とも遊ぼ~よ~!」
「う~ん、でもね……」
「あの、あのっ! 及川先輩っ! わっ、私ともっ!」
「及川先輩! ちょっとお話があるんです! 聞いてください!」
「わっ、私もっ!」
「えっ……いや、俺はこれから……」
お話をしている暇はないんです!
俺は早く飛雄とイチャイチャ遊びたいんだよー!
「ちょっと! あんた達うるさいわよ。
徹くんが困ってるでしょ? 徹くんは皆のよ!」
俺は飛雄ので、皆のじゃないんだよ!
困ってるでしょってその通りだけど、君にも困ってるんだよ!?
そんな俺の気持ちには気付かずに、女の子達は俺の手などをグイグイ引っ張ってくる。
あーーーー痛い! モテるって全然良いことない!
イケメンって、何かと良いことも沢山あるけど、やっぱり好きな人にだけ求められればそれで良いよ!
そりゃ、モテない男子達が悔しがるのを見て、優越感に浸るのも良いけどね☆
「ねぇ~~、徹くんカラオケ行こ~よぉー!」
「遊ぼ遊ぼ遊ぼ!!」
「俺この後用事あるんだよ本当に!」
「私達と、その用事、どっちが大切なのぉ!」
飛雄に決まってんでしょ!!
でもそんなこと言ったら、泣いちゃうかもだし……もぉ~~どーすればいいのぉ!?
そこで新たな声が、後ろから響いた。
「おいお前ら! ギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーギャーうるせーぞボゲェ!!」
あっ! この声は、俺の女神様のお声だ!!
ともだちにシェアしよう!