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第97話

日向は 俺のチームメイトで友達で相棒で…… コイツが居るから毎日すげーバレーが楽しくて ずっと友達でいたい、ずっとコイツとバレーしていたい 俺の、初めて出来た大切な親友………… なのに キスされた 日向が……俺に キスした 「俺、ずっと前からお前のこと好き 本気なんだ…… 影山が好き 」 俺もお前のこと好きだよ でも、日向の真っ直ぐで真剣な熱い眼差しで分かった これは、俺が思ってる好きとは違うってこと 俺が及川さんを好きって気持ちと同じ……好き どうすればいい? なんて返事すればいいんだ…… 日向は親友で 大切で 俺は及川さんが好きで 俺の返事次第でもしかしたら、もう日向とは喋れなくなってしまうかもしれない もう一緒にバレーしてくれなくなるかもしれない 嫌だ! 俺はずっとコイツとバレーしてぇ! どうすれば、どうしたら、分からない……なんて返事すればいいんだ!? 「日向……俺、俺は……及川さんが好きで……その……」 「ずっとお前が好きだった…… お前が大王様と付き合いだしたって聞いた時、スゲーショックだった。 でも大王様と居る時のお前は嬉しそうで、楽しそうで、お前が笑ってるなら、大王様といて幸せなら、俺はこの想いを隠して、諦めなくちゃいけないのかなってずっと思ってた。 でもお前は今大王様のせいで泣いている。 この前も、傷付いて悲しそうな顔をしてた。 なぁ影山、お前は大王様といて幸せ? そんなに傷付いて泣いて、悲しそうな顔して、大王様といて本当に幸せ?」 俺は及川さんが好きだ 日向の言う通り一緒にいて楽しいし、嬉しい でも、及川さんはすごいモテて、皆及川さんが好きで…… 俺は、ずっと及川さんの傍に居たいけど…… 及川さんはずっと俺の傍に居てくれる? もっと及川さんに相応しい相手を見つけて、俺から離れて行ってしまうんじゃ…… そう考えたらまた、涙が零れて視界を歪ませた そんな俺を強く、日向が抱きしめる 「俺だったらお前をそんな風に泣かせないよ」 「…………」 「好き、もう諦めたくない」 「日向、俺……」 「お前を大王様から奪ってみせる」 「でも、俺は及川さんが……」 「大王様じゃあ、お前を幸せに出来ない」 「俺は及川さんが、及川さんが、まだ、好き好きなんだよ!」 いつか捨てられるかもしれない 沢山泣くことになるかもしれない それでも、好き どうしようもなく好きなんだ 「影山! 俺はお前を絶対離したくない!!」 「日向ゴメ……俺、やっぱり及川さんが」 「影山、好きだ影山!」 及川さんが好き ずっと好き 「ゴメン日向!!」 俺は渾身の力を込めて、日向の胸を強く押して、離れた 「影山……」 顔を歪ませて、悲しそうにこちらを見つめる日向に頭の中がグチャグチャになっていく 「日向……ゴメン! ゴメンな!!」 俺はどうしたら良いかもう分からなくなって、日向の想いから、逃げ出してしまった。 「影山ぁぁあ!!」 日向の掠れた声が、俺の心の中で苦しく悲しくいつまでも響いていた

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