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第99話
昨日は全然寝れなかった。
及川さんと女子達の話し声
新藤さんはまだ及川さんのことが好きで
そして、日向の告白……
それらがずっと頭の中を占領して胸が苦しくて、考えすぎて頭がズキズキと痛みだす始末。
朝になってもまだ痛み、少しクラクラする。
本当最悪だ……
頭に手を当てて、長いため息を吐きながらダイニングチェアに腰掛ける。
「飛雄オハヨ~」
「……ハヨ…」
母さんがニコニコ笑いながら、テーブルにみそ汁など朝食を並べる。
朝から元気だな……こっちはまだ頭痛いし、胸も苦しい。
またため息を吐いて、ワカメのみそ汁を啜った。
みそ汁……母さんのはもちろん美味しいけど、
及川さんのみそ汁……美味しかったな。また飲みたい
なんて考えてたら、涙が零れそうになった。
『トビオちゃん、おいし?』
及川さんの優しい笑顔……
…………ハイ、スゲー旨いです
あ…ダメだ こんなこと考えてたら、本格的に泣いてしまう。
俺はクラクラする頭を激しく振ってから、何も考えないようにただ黙々と朝食を食べ続けた。
「飛雄? あなたちょっと顔赤くない?」
「あ?」
弁当を持ってこちらに近付いてきた母さんが、心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
「昨日ずぶ濡れで帰って来たから、風邪引いたんじゃないの?」
「そんなことねーよ。昨日よく寝れなかったから、寝不足で赤いだけだ」
「寝不足で顔が赤くなるなんて、聞いたことないわよ!
なんかあなたちょっとしんどそうだし
酷くならないように、今日は休んだほーが良いんじゃない?」
「大丈夫だって、大袈裟だっつーの!
弁当サンキュー行ってきます!」
「あ、ちょっと飛雄!」
母さんから弁当を奪い取って、早々と家を出る。
たぶん顔が赤いのは、さっきまで及川さんのこと考えてたから。
少し頭が痛いのは昨日のことを考えすぎて、頭が爆発しそうになってるだけだ。
そんな酷くないし、これぐらいの事で休んだら……
それでなくても日向に会いづらいのに、余計に会えなくなって、日向とバレー出来なくなったら俺は…………
なんて話せば良いのか分かんねーけど、休んだらきっと、今日この日をずっと後悔することになると思う。
だから、絶対行かねーと……
そう頷いてから、学校までの道をまた色々考えながら歩いていると、後ろから誰かに肩を叩かれた。
「オッス、影山」
あ……この声は
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