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第102話

及川side 疲れたから先に帰ったって……それ本当? 思わずメールではバーカとか送っちゃったけど、あの飛雄が疲れたからって先に帰るとか、妙だな…… なんかものすごく、胸騒ぎがする とにかく今日は早く飛雄を迎えに行って、昨日のことを問い詰めてやる! 「たくっ! ほんとかよ……」 いつも通り牛乳パンをかじりながらそんなことを考えていたら、岩ちゃんがスマホを見ながら眉間にシワを寄せて唸った。 「? 岩ちゃんどーしたの?」 「あ? んでもねーよ……お前は黙って牛乳パンでも食ってろボゲェ!」 「何もぉ~~! 機嫌ワルワルだね岩ちゃん。 メール打ってんの? 相手誰?」 「ウッセェボゲェ!! だから牛乳パン食ってろって言ってんだろーがボゲェ! ボゲェ!」 ボゲボゲ言い過ぎだし~~ 岩ちゃんは悪態つきながらも、なんか気まずそうに俺から目を逸らしている。 なんか怪しいなぁ~……大抵誰って聞いたら、めんどくさそうにそれでも答えてくれるのに 今日はボゲボゲ言って目を逸らすとか…… 岩ちゃんが俺に隠して気まずそうにする相手って……もしかして 飛雄? 俺は素早く立ち上がって、岩ちゃんのスマホを奪おうと手を伸ばした。 「あっ! テメー何取ろーとしてんだよボゲェ!」 「岩ちゃん、メールの相手飛雄でしょ!! なんで隠すの? 飛雄何て言ってんの?! 教えてよ岩ちゃん!!」 昨日の飛雄は絶対変だ! もしかしたら岩ちゃんは何か知ってるのかも。 俺は必死にスマホを掴んで奪おうとしたけど、岩ちゃんの素早い反撃に敢えなく返り討ちにあった。 「ううぅ、岩ちゃん……どーして教えてくれないの? 相手飛雄なんでしょ? 飛雄の彼氏である俺に隠す理由って何?」 「影山がお前には言うなって言ったんだよ」 「え? どーして、なんでさ!」 「さあな、いくら付き合ってても、相手に隠しときたいことの1つや2つあるんじゃねーの? 相手に自分の全てをさらけ出さなくちゃいけない法律なんてねーんだから!」 「そりゃそーだけど……俺は、飛雄に絶対隠し事なんてしたくないよ……飛雄には俺の全てを知っててもらいたい。 好きだから、俺も飛雄のこと全部知りたいんだよ…… 嫌だよ、俺が飛雄のことで知らない何かがあるなんて、そんなの嫌だ……」 嫌だよ……飛雄の全てがほしい 隠し事なんてダメだよ飛雄…… 「岩ちゃん……教えてよ……お願い」 俺はギュッと岩ちゃんの腕を掴んで、懇願した。 岩ちゃんは長いため息を吐いてから、俺の頭を軽く何度も叩いた。 「俺もよく知らねーんだよ。 なんで影山がお前には言うなってあんな頑なに言ったのか…… まあただ単にお前に、心配かけたくなかっただけかもしんねーけどな!」 「俺に心配かけたくない?」 「とにかく、アイツが言うなって言うんだから、俺からは何も言えねーよ。 でも、今日は早く影山に会いに行った方が良いってことだけは分かる。 影山……顔が赤かったから」 「は? 顔が赤い?」 「そーだ! 顔が赤かった!」 なんで顔赤いのさ? 俺の前じゃあよく恥ずかしそうに真っ赤になってるけど…… 意味が分からず首を傾げていると、岩ちゃんに何故か殴られた。 「イッタ!」 「ピンとこねーなお前! ついでに言うと、昨日は雨だった! これで分かったろ?」 雨で、顔が赤い…… あっ! もしかして!! 「岩ちゃん飛雄大丈夫かな!?」 「だから今日は早く影山に会いに行ってこい!」 「うん分かった! ありがとう岩ちゃん!!」 岩ちゃんの言葉に俺は大きく頷いた。 今日は、今日は絶対早く会いに行くからね飛雄!!

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