109 / 345
第108話
及川side
気付いてなかっただけで本当は、初めて出会った時から俺は飛雄に恋をしていたんだと思う……
中学出会った最初の時俺は、飛雄のこと影山って呼んでた。
『へぇ~影山ってセッター志望なんだ?』
『ハイ! 及川さんのサーブ見ました!
スゲー威力でドバーンスドーンていって、スゲーです!
俺もあんなサーブ打てるようになりたいです!』
『ドバーンスドーン??
トスじゃなくてサーブなんだ……
まぁうん、ありがとう。影山もすぐ打てるようになるよ』
大きなクリクリした可愛い瞳をキラキラさせて、俺を見つめる飛雄がものすごく可愛くて。
そんな尊敬してますって目で見られたら、誰だって嬉しくなるよね。
最初のうちは飛雄が求めてきた物を出来る限り教えた。
サーブの打ち方、ブロックするタイミングなど
出来るようになると嬉しそうに
『及川さんアザーーッス!』
なんて言って、また目ぇキラキラさせて俺を見つめる。
本当に素直で一生懸命で、可愛い後輩が出来て俺も喜んでた。
飛雄はすごい上達するのが早かった。
俺が半年かけて出来たことを、飛雄は1ヶ月立たぬうちにすぐ身に付けていく。
すぐに俺の教えられることがなくなっていった。
それでも飛雄は俺の所に来てくれていたけど、回数は最初の頃より大分減って、他の人の所に多く行くようになった。
『先輩! 今のスゲーっす!
もう一度見せて下さい!』
なんなのアイツ!
最初はあんなにこっちに来てたクセに!
恩知らず!!
俺の技を全部手に入れたらもう御役御免ってか?
なんか感じ悪いんですけど!
『今年はすごい1年が入ってきたなぁ~及川!
影山のスタメン入りも考えないとな~』
監督が主将である俺にそんなことを言ってくる。
それってつまり俺をスタメンから外すってことか?
なんなのそれ……
可愛かった後輩が、ドンドン黒く歪んでいく
ともだちにシェアしよう!