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・第142話・
いつも抱かれて気持ち良くさせられてるけど、今日は及川さん風邪引いてるし、俺が抱いて気持ち良くさせてやる!
スゲー緊張するけど
「本気なの飛雄?
でも俺抱かれるより抱いて、お前の可愛い姿見たいんだけど」
「今日は俺が及川さんの可愛い姿見ます!
あんたは風邪引いてんだからただ横になって、俺に全て任せていればいーんです!」
「俺の喘いでる姿なんてキモいだけだよ?
それに、飛雄……出来んの?」
及川さんの笑いを含んだ言葉に、カッと顔が熱くなった。
何をどーすれば良いのかまだ分かんねーけど、俺だって男なんだ!
出来るに決まってる! ナメんなよ!!
俺は素早く及川さんの頬を両手で包んで、強引に唇を奪ってやった。
そんな俺の行動に及川さんはビックリしたように目を見張ったけど、すぐに目を細めて口角を上げた。
ムカつく……ゼッテー気持ち良くさせて、デレデレにしてやる!
俺は口角の上がった形の良い唇に、ツゥっと舌を這わせた。
すると及川さんが唇を軽く開いて、俺の舌を招いた。
誘われるまま彼のいつもより熱い口内へと滑り込む。
舌先が触れ合っただけなのに、何故か身体が熱くなって胸が高鳴る。
この後どーすれば良いのか分からないけど、いつも及川さんが俺にするみたいに、
恐る恐る歯列をなぞり、及川さんの熱い舌を絡め取り吸い上げる。
「…………」
こうされたら俺だったら頭がクラクラしてきて、思わず声が出てしまうのに……
及川さんは平然とした顔をしている。
気持ち良くねーのかな? どうやったら気持ちよくなるんだ?
首を傾げながらもう一度彼の舌を吸い上げようとしたその時に、突然腰をスルリと撫でられた。
その感触に驚いて唇を離そうとしたが、後ろ頭を押さえられ口付けを深くされる。
「んんっ!」
今度は彼の舌が俺の口内へと侵入してきて、乱暴に掻き回された。
舌を甘噛みされ、きつく吸い上げられる。
上顎を舐め上げられ、歯列をなぞられたかと思えば、また強く絡め取られ吸い上げてくる。
「んん……ふぁ、ん、ンンっ、んんぅ!」
口腔を犯され、視界がぼんやりと滲んでいく。
何度も上顎を擦られて、気持ち良くてキスに夢中になっていたから、後ろの方へ回ったイヤらしい手に気付かなかった。
突然尻をギュッと掴まれ、スルリと撫でられた。
「んんうぅっ!」
唇は解放されないまま犯し続けられ、両尻をしつこく撫でてくる。
ズボンの上から割れ目をそっとなぞられたかと思えば、グッと指を突き立てられた。
「ンくぅっ…うぅ……っ!」
俺は堪らず及川さんの背中を叩いた。
彼はニヤニヤ笑いながら唇を解放してくれる。
だが、イヤらしい手はまだ俺の尻を撫で続けている。
「ちょっとあんた何やってんだ!」
「何って、飛雄のお尻があまりにもカワイーから」
「可愛いからじゃない! 尻触んの止めろ!
俺が及川さんを抱くって言ってんのに、なんであんたが触ってくんだよ!!」
「気持ち良さそーにキスしてたくせに……
だって飛雄下手くそなんだもん。
あんなんじゃあ及川さん気持ち良くなれないよ」
「へ、下手くそじゃねぇ!
初めてだったから、やり方が分からなかっただけだ。
次は気持ち良くさせるから、及川さんはじっとしててください!」
「えーー……ハイハイ」
まだニヤニヤ笑っている及川さんの背中を押しながら、俺達は寝室へと移動した。
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