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第152話
「これからもずっと心と心が繋がっていられるよう、俺達の間に秘密事は一切なし。
約束……守れるよね、飛雄」
もうこれ以上擦れ違わないように、悩まず苦しまないために
及川さんと繋がっていたいから……
「約束、します……」
深く頷くと及川さんは嬉しそうに綺麗な笑顔を浮かべてから、スッと俺の方へ小指を差し出してきた。
「じゃあ、指きりしよ」
「えっ! 指きりってなんかガキっぽいっすよ?」
「ガキでもなんでもいーじゃん!
俺はどうしても飛雄と指きりしたいの。
恋人同士が小指と小指を絡めるのって、なんか良いと思わない?
ね、やろーよ指きり」
そんな可愛い無邪気な顔で言われたら、断ることなんて出来るわけないじゃないか。
俺はおずおず手を及川さんの方へと差し出そうとすると、その手を素早く掴まれ小指を絡め取られた。
「フフ……じゃあ、始めるね! ゆーびきりげーんまーん」
楽しそうに手を上下に振る及川さんがあまりにも可愛くて、なんか恥ずかしくて俺は自然と頭が下へと下がってしまう。
恥ずかしがっている俺に、更に及川さんが追い討ちをかけてきた。
「嘘ついたら~キス1000回しても~らうっ!」
「えっキス!? 針は? え?」
「ゆ~びきった!!」
ブンブンと振った後パッと手を離してから、及川さんはニンマリと満面の笑みを浮かべた。
そんな彼に俺は下げていた顔を慌てて上げて、これでもかと言うほど大きく目を見開いた。
「あ、あの普通針1000本じゃあ?」
「イヤだ!」
「え?」
突然真面目な顔をして大きな声を出した及川さんに、俺はビクッと身体を揺らした。
そんな俺の肩に彼は両手を乗せてから、ゆっくり顔を近付けてくる。
「好きな人に針1000本も呑ませるなんてイヤだよ。
罰だろーがなんだろーが、恋人とならやっぱりキスしたいだろ」
指きりなんてたかが子供がする遊びのようなものに、そんな真面目な顔するなんて……
今日のあんたはなんか可愛くて、ちょっと変ですよ?
風邪引いてるからか?
それでも、恋人と小指と小指を絡めてドキドキして
ただの遊びなのに、好きな人に針1000本も呑ませたくないなんて言われたら……
なんかもう……止まらなくなる
「それに、キス1000回もするのって、結構大変で疲れると思うよ」
「そーすね……でも、キス1000回してみたくなる…」
思わず口から飛び出してしまった言葉に、彼は目を細めてまた綺麗に微笑んだ。
「俺もそう思ってた……
でも、これは約束を破った時の罰なんだからね!
キスしたいからって隠し事しちゃダメだよ」
「及川さんもですよ」
「ハハ……」
小さく笑って及川さんは、俺の頬を両手で包み込んでコツンと額と額をくっつけてきた。
それにドキドキしながら、やっぱり熱いなぁ~なんて思ったり。
約束を破った時の罰……
でもこれは、二人にとってのご褒美でもあるように思えた。
これってやっぱり罰じゃないだろって思うけど
それでも絶対、絶対破りません
約束、守りますよ及川さん
必ず……
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