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・第164話・

羞恥にギュッと目を瞑って俯いた俺に彼はまた笑って、止めていた律動を再開させた。 のっけから容赦なく激しく、ガツガツと打ち付けられる。 「ん、あぁっ、あ……ふ、あん、あぁ……」 視界が霞んで何も見えなくて、頭がボーッとクラクラするのに後ろに与えられた刺激、感触だけは強くボヤけてくれなくて。 「トビ、オ……気持ち、い?」 「あぁあ、くっ、ぅ、ふ、ふぁい、ぃ……っ!」 「ハァ、ハァだったら、もっと声あげな! もっと、もっと乱れて、ハァ、俺を興奮させな!!」 余裕のない声でそう言って、及川さんは更に激しく腰を振って攻め立ててきた。 ぶつかり合う音がグヂュッジュボッと大きく辺りに響き、もう苦しくて、でも快楽をもっと求めて熱く喉を震わせた。 「ふあぁっ、あん、あぁあ、んあぁっ!!」 「……ン……は…」 俺の喘ぎ声と及川さんの乱れた吐息が混ざり、俺も腰を振って音が止むことなく響き打ち鳴らす。 燃え上がり震えて、熱くて熱くて 涙と一緒に激しさのあまり飲み込めなかった唾液が口腔から溢れ、地面に染みを作るのをどうすることも出来ない。 「あっ、あっ、…んあ、んはぁぁっ、……おい、かわひゃっ、おいかわ、さんんっ!」 俺はもう完全に理性を解き放って、ただ感じることしか出来ず、彼の名を呼んで乱れ続ける。 激しい苦しい……でもそれが今の自分には必要で もっともっと欲して、雫を散らしては体力の限り腰を振って、熱く痺れ彼を感じる。 「あっ、あぁ……お、おいか、わさ……あっあっ」 「こんな、気持ち良さ、そうにエロく求めちゃって……お仕置き、だったの、にご褒美になっちゃった、ね」 「んあはぁ、ぁ、んあ……」 「でも、これで良かった…… やっぱ俺、お前をどうして、も傷付けたくない、から……」 ───それだけお前が好きだから早く二人きりになりたかった、ただそれだけのことだったんだよ…… どんな気持ち、思いがあっても、お仕置きなんて苦しめて傷付けることなんか、俺には出来ない。 「おいか、わ、さ……ん」 涙零れる…… ずっと流してたものと同じか、それとも違うものか。 どうであろうと、嬉しさが産み出したものには違いない。 俺に触れる感触が優しくなり、それに気付いてもっと視界が滲んだ。 強くしても構わないと、そう思ったことにも気付いて。 腰を支えてくれる手をギュッと握ると、小さな吐息の後弱まっていた律動が激しさを取り戻す。 「んあ、あ、ン、ンっ! おい、か、わさん、ん……もっと、あぁっ、もっとぉ!!」 強く激しく求めて、全身で感じて、受け止めたい この愛しい人を…… 「ん……飛雄、飛雄……っ!」 「おい、かわさんっっ!」 ここがどこなのかを忘れて、お互い愛しく名前を呼び合って、快楽に溺れて激しく打ち合う。 ………………だから、 全然気づいてなかった、気付けなかった。 俺達へと確実に近付いてくる、足音に…… 「…………君達……こんなところですごいことヤってるんだね。 有り得ないんだけど……」 「え? ……あ……」 新たな声…… 及川さんの呟きの後、声のした方へと目線を向ける。 そこには、 月島が大きく目を見開き、こちらを凝視して立ち尽くしていた…… 「つ、月島ぁ!?」

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