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第169話

なんで俺達、あんなことで喧嘩しちまったんだろう…… 「うっわ影山! ヒッデー顔だな……怖ぇ~ 大王様となんかあったの?」 日向の奴、なんで分かんだよ…… 昨日結局あれはどっちが悪かったんだろうとか、最後の及川さんとのキスのこととか、色々考えてたらほとんど眠れなかった。 もう考えすぎて頭が爆発しそうだし、自然と顔が険しくなってしまうのを止められない。 そんな状態のまま学校へ行って、日向が俺を一目してからの第一声がこれだった。 まぁ、何か言われるだろうとは思ってたけど、まさか一番の正解を出されるとはな…… 「あ、図星? 図星だろ?」 「うっせぇ日向ボゲェ……」 「図星だぁ~お前分かりやすいからなぁ…… 前も似たようなことあったけど、原因は大王様だったし。今回もそーだろーと思ったよ!」 そう言ってこちらを指差しながら笑うから、イラッときて思いっきり睨んでやったら、日向は眉を下げて苦笑いをした。 「あ~まぁ~でも……何があったかはしんねーけど、早く謝って仲直りしろよな。 お前がいつまでもそんな怖ぇー顔してっと、こっちまで調子狂うっつーか、なんか暗くなるし……」 日向の言い分は分かる。 確かに俺も日向が元気なかったら調子狂うし、バレーにも支障を来たすかもしれない。 でも…… 「んで俺が謝るんだよ? 悪いのは及川さんだ…… 俺も少しは悪いとこあったけど、でも一番悪いのは及川さんだ! 俺はあの人が謝るまで許してやらねーって決めたんだ!!」 さっきまで喧嘩したこと少しは後悔してたけど、日向の謝れって言葉に引っ掛かるものを感じた。 あんなとこでヤッて月島に見られて…… 及川さんは学校違うからいーだろーけど、俺はこれから月島にどんな嫌みを言われてからかわれるか。 今から考えただけでイライラする。 もしかしたら意地の悪い月島のことだ、 『聞いてくださいよぉ~昨日王様と大王様、公園で何してたと思います? セックスしてたんですよセックスぅ! 信じられないでしょ!!』 なんて、部活の皆に言い触らすかもしんねー…… そんなこと言われたら、居心地悪いやら恥ずかしいやら……本当に考えただけで恐ろしい。 どうにかあいつを黙らす、口止め出来るような弱みをにぎれないだろーか? 未だに眉を下げて苦笑いをしている日向の横で、月島の弱点について考えていると、突然ポンッと肩を叩かれた。 「おはよーございます王様♡ 昨日はお楽しみを邪魔してしまって、どうもすみませんでしたね。 でも、楽しかったですね~」 ニヤニヤと何かを企んだような笑みを浮かべて、俺の肩に手を置いてくる月島。 その顔を見た瞬間、あのキスされた時のことを思い出してしまい、俺は素早く後退りした。 「そんなに避けなくてもいーでしょ王様。 仲良く遊ぼうよ♪」 何が仲良く遊ぼうだ……ただ俺をからかって遊ぶだけだろ! 全然仲良くねーよ! 「影山?? なんかお前顔赤くね?」 またキスされたら大変だと警戒しながら月島から距離を取っていると、俺の顔を見た日向が首を傾げた。 慌てて二人から顔を逸らした俺に、月島は楽しそうな声をあげた。 「顔真っ赤なの王様? なんで? あ、もしかして、何か期待してる?」 「は、はぁ!?」 「僕は期待通りしてあげても良いけど。どおする?」 「な、何言ってんだボゲェ! ざけんな!」 「え? 期待通りって何?」 期待ってなんだよ!? 意味分かんねぇ!! 恥ずかしくて、それと一緒に腹が立って。 熱くなっていく顔を手で隠していると、日向があからさまに興味津々だと分かる面持ちで顔を覗き込んでくる。 そんな日向の頭を思いっきり拳で殴ってやった。 「いっでぇええぇえええぇぇっっ!!」 「うるせぇ日向ボゲェェェェ!!」 「僕はいつでも構わないからね、王様♡」 「そんな日はゼッテェ来ねーよ!!」 早く月島の弱点を探さねーと、大変なことになりそうだ。

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