173 / 345

第172話

今日姿を見る度、観察して見ようとしたけど 月島の弱点…… ない! つーか、 俺が見たらあいつと目が合って、そんで逸らすの繰り返し。 これじゃあ全然探せねー…… ニヤニヤしやがって 「ちょっと王様~こっち見ないでよぉ~ 期待してんの?」 「し、してねーよボゲェ!」 「てゆーか、月島が影山を見てるのでは?」 日向の言葉に鳥肌がたった。 すると月島がニヤケ顔を真面目な顔にかえ、こっちをじっと見つめてきた。 「うん、見てたよ。王様のこと……」 「……え?」 その顔を見た途端またあのキスした時のことを思い出して、顔が熱くなってしまった。 見られたくなくて慌てて顔を逸らすと、月島がバカにしたように吹き出しやがった。 「ぷっ、アハハ! 顔真っ赤~ やっぱり王様期待してたんだ?」 「なっ! お前ホント性格悪すぎだろ!」 「王様からかうと面白いから、つい遊びたくなるんだよねぇ~あー面白♪ 次はどーやってからかってあげようか? 楽しみにしてて下さいね、王様」 意地悪くこっちをジロジロ見て笑う月島を睨み付ける俺。 そんな俺達を交互に見て日向は小さなため息を1つ吐いて、やれやれと言わんばかりに首を振った。 「珍しく素直になったかと思ったらそれかよ…… いーのか月島? 影山鈍感だから本当に言わないと分かんないと思うよ?」 「あ? 何言ってんだ日向ゴラ?」 「王様うるさい……日向もうるさいよ……」 「……ハイハイ」 「?? なんだよお前ら?」 眉間にシワを寄せてそっぽを向いた月島を横目に、日向に質問したが苦笑して何も言わない。 本当になんだよこいつら…… ―─―─―─―─―─―─―─―─―─―─―─― 午後練中も月島がジロジロ見てきて、イライラしながらそれと同時に及川さんのことも気になって。 及川さん毎日迎えに来てくれてたけど、今は喧嘩中だ。きっと今日は来てくれないだろう。 それに悲しさを感じて俯くと、同時に月島の視線を感じイライラして睨み返す。 及川さんへの悲しみや寂しさを感じたら月島からからかわれて、もうだんだんわけ分からなくなってきた。 全部及川さんのせいだ! 苛立ちながら部室にて着替えをしていると、後ろから肩を叩かれた。 クッソまた月島かっっ!! 苛立ちを隠さずキッと勢い良く振り返ると、菅原さんが一瞬目を見開いてから眉を下げて笑ってた。 俺は慌ててさっきより更に、勢い良く頭を下げた。 「あっ! すんません菅原さん!」 「あー、それはいいけど…… なんか今日影山ずっと変だけど、及川と何かあったのか? 余計なお世話かもしれないけど、俺から及川に言ってやってもいーぞ? どんなことでも良いから相談してみ?」 「え? いや大丈夫っす! なんもありません!」 「ホントかぁ~?」 「ホントっす!」 日向にもバレたし、俺ってそんなに分かりやすいのか? ……いや、きっと俺の中で及川さんの存在が日に日に大きくなっていて、及川さんと付き合えてからの俺が、ちょっとした事で一喜一憂していたから。 その気持ちが日向や菅原さん達にも伝わってしまうぐらい、本当にあの人は俺にとって特別で…… 大切なんだって改めて気づかされる。 「おーい影山! お待ちかねの及川が校門の前で待ってるぞ」 部室に入ってきた澤村さんが、笑顔で俺を呼ぶ。 1度澤村さんへ向けた視線を菅原さんへ戻すと、彼もやっぱり笑顔で、俺の頭を優しく撫でた。 「なんだ、もう大丈夫そうか? まぁ~でも、また何かあったら一人で考え込まず俺達を頼れよ」 「う、ウッス! アザッス!」 頷いて笑って、俺は素早く残りの着替えを済ませて、部室を駆け出した。 菅原さんと澤村さん、頼りになる…… 俺の強い味方、俺もあんな先輩になりたい。 強くそう思った 怒ってると思ってたのに、及川さん来てくれたんだ それが嬉しすぎて、 俺は走るスピードを更に加速させた。

ともだちにシェアしよう!