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第172話
今日姿を見る度、観察して見ようとしたけど
月島の弱点…… ない!
つーか、
俺が見たらあいつと目が合って、そんで逸らすの繰り返し。
これじゃあ全然探せねー……
ニヤニヤしやがって
「ちょっと王様~こっち見ないでよぉ~
期待してんの?」
「し、してねーよボゲェ!」
「てゆーか、月島が影山を見てるのでは?」
日向の言葉に鳥肌がたった。
すると月島がニヤケ顔を真面目な顔にかえ、こっちをじっと見つめてきた。
「うん、見てたよ。王様のこと……」
「……え?」
その顔を見た途端またあのキスした時のことを思い出して、顔が熱くなってしまった。
見られたくなくて慌てて顔を逸らすと、月島がバカにしたように吹き出しやがった。
「ぷっ、アハハ! 顔真っ赤~
やっぱり王様期待してたんだ?」
「なっ! お前ホント性格悪すぎだろ!」
「王様からかうと面白いから、つい遊びたくなるんだよねぇ~あー面白♪
次はどーやってからかってあげようか?
楽しみにしてて下さいね、王様」
意地悪くこっちをジロジロ見て笑う月島を睨み付ける俺。
そんな俺達を交互に見て日向は小さなため息を1つ吐いて、やれやれと言わんばかりに首を振った。
「珍しく素直になったかと思ったらそれかよ……
いーのか月島? 影山鈍感だから本当に言わないと分かんないと思うよ?」
「あ? 何言ってんだ日向ゴラ?」
「王様うるさい……日向もうるさいよ……」
「……ハイハイ」
「?? なんだよお前ら?」
眉間にシワを寄せてそっぽを向いた月島を横目に、日向に質問したが苦笑して何も言わない。
本当になんだよこいつら……
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午後練中も月島がジロジロ見てきて、イライラしながらそれと同時に及川さんのことも気になって。
及川さん毎日迎えに来てくれてたけど、今は喧嘩中だ。きっと今日は来てくれないだろう。
それに悲しさを感じて俯くと、同時に月島の視線を感じイライラして睨み返す。
及川さんへの悲しみや寂しさを感じたら月島からからかわれて、もうだんだんわけ分からなくなってきた。
全部及川さんのせいだ!
苛立ちながら部室にて着替えをしていると、後ろから肩を叩かれた。
クッソまた月島かっっ!!
苛立ちを隠さずキッと勢い良く振り返ると、菅原さんが一瞬目を見開いてから眉を下げて笑ってた。
俺は慌ててさっきより更に、勢い良く頭を下げた。
「あっ! すんません菅原さん!」
「あー、それはいいけど……
なんか今日影山ずっと変だけど、及川と何かあったのか?
余計なお世話かもしれないけど、俺から及川に言ってやってもいーぞ?
どんなことでも良いから相談してみ?」
「え? いや大丈夫っす! なんもありません!」
「ホントかぁ~?」
「ホントっす!」
日向にもバレたし、俺ってそんなに分かりやすいのか?
……いや、きっと俺の中で及川さんの存在が日に日に大きくなっていて、及川さんと付き合えてからの俺が、ちょっとした事で一喜一憂していたから。
その気持ちが日向や菅原さん達にも伝わってしまうぐらい、本当にあの人は俺にとって特別で……
大切なんだって改めて気づかされる。
「おーい影山! お待ちかねの及川が校門の前で待ってるぞ」
部室に入ってきた澤村さんが、笑顔で俺を呼ぶ。
1度澤村さんへ向けた視線を菅原さんへ戻すと、彼もやっぱり笑顔で、俺の頭を優しく撫でた。
「なんだ、もう大丈夫そうか?
まぁ~でも、また何かあったら一人で考え込まず俺達を頼れよ」
「う、ウッス! アザッス!」
頷いて笑って、俺は素早く残りの着替えを済ませて、部室を駆け出した。
菅原さんと澤村さん、頼りになる……
俺の強い味方、俺もあんな先輩になりたい。
強くそう思った
怒ってると思ってたのに、及川さん来てくれたんだ
それが嬉しすぎて、
俺は走るスピードを更に加速させた。
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