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第174話
「クッソォーーーーなんなんだよ及川さんのボゲェ!!
意味不明なこと言ってくるし、謝ってくれねーし!
なんでだよ……」
悪態をつきながらボールを地面に打ち付け続ける俺を見て、日向が嬉しそうに笑う。
「でも、なんだかんだ言って毎日迎えに来てくれてるよなぁ~大王様」
「…………」
日向の言う通りあの日から1週間たった今でも、及川さんは放課後俺のことを迎えにきてくれていた。
でも、会話はなし。
一緒にいる日向には挨拶するくせに、俺にはチラ見してからのガン無視。
月島が俺にちょっかいをかけてきた時は、恐ろしい顔でこちらを睨んでいた。
全然及川さんと話せてない……(もちろんセックスもしてねー! 爆発する!!)
及川さんと話したくて話したくて、寂しくて……
夜もその事ばかり考えて、目の下の隈がどんどん濃いくなってきた……
「スゲーよな、喧嘩してるのにああやって毎日迎えに来るなんて。普通の男なら絶対来ねーよ」
「…………」
「これが……愛ってやつなのかな……?」
「バッ! キモいこと言ってんじゃねーよ日向ボゲェ!」
「スゲー愛されてんなー影山!」
「うっせぇ黙れボゲェ!!」
顔が熱くなるのを誤魔化そうと、日向に何度もボールをぶつける。
痛いと言いながらも日向が楽しそうにボールを避けるもんだから、それをムキになって狙う。
勿論澤村さんに怒鳴られたのは言うまでもない。
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《今日主将会議ってのがあってちょっと遅くなるから、少し待ってて!!》
部活終了後、及川さんからこんなメールがきていた。
喧嘩してんのに待ってろとか……
これを無視して帰る?
そんなこと俺に出来るわけない
「影山、帰んねーの?」
「及川さんからメールあった。遅くなるから待ってろって……」
「へぇ~~ふ~~ん……」
「んだよボゲェ……」
日向がメッチャクチャ楽しそうなニヤケ顔で、こちらをジロジロ見てくる。
その頭を小突いて睨んでやれば、日向は頭を擦りながら、何故か目線をこっちに向けたままニヤニヤと蟹歩きで部室を出ていった。
なんなんだよその意味不明な去り方は?
菅原さん達も俺と日向の話を聞いていたようで、俺の肩を叩きながら優しい穏やかな微笑みを浮かべて去っていった。
皆、俺と及川さんのこと応援してくれてるんだな……
その事が嬉しくて、少し目頭が熱くなった。
暫く部室の椅子に座って及川さんが来るのを待つ。
喧嘩してるのに迎えに来てくれたり、一緒に帰ろうと待ってろって言ったり……
日向の言う通り、俺は及川さんに愛されてんだなって実感出来る。
俺だって及川さんが悪いと思ってても、やっぱり好きだって……早く仲直りしたいって思ってる。
及川さんもきっと……いや絶対同じ気持ちでいてくれてるって思ったら、自然と上がっていく口角を戻すことなんて出来なくて。
早く及川さん来ねーかな?
笑って携帯を握りしめたその時、部室のドアが開いて……
「何ニヤニヤしてんの?」
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