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第195話

甘くて深いキスで身体の奥底が熱くなっていく。 今すぐ触って、沢山あなたを感じさせてほしい。 「んんンっ、ふ…ぅ、あ……お、いかわ、さ」 キツくチュクッと舌を吸われて息苦しさに喘いだ俺を見て、及川さんは目を嬉しそうに細めて笑ってからゆっくり唇を離した。 「飛雄、かわい。ほんと可愛すぎ……」 艶を含んだ声が耳元で囁かれ、ゾクリと震えた身体に眉が下がる。 その響きに甘い目眩がして、しがみつくように思わず彼の服に皺を作った。 「んぅ、は……」 「飛雄……飛雄可愛い、かわい……」 「及川さん……さっきからなんか、可愛い可愛い言い過ぎじゃねーっすか? スゲー恥ずかしい…… 男の俺が可愛いわけないでしょ?」 それが当たり前だと思ってるのに、及川さんはその言葉は間違ってると言わんばかりに可笑しそうに笑って、 柔らかく俺の頬を撫でてから、またゆっくり顔を近付けてきた。 「だって本当にかわいーんだから仕方ないじゃん。 すごい可愛いよ飛雄……」 そう微笑んで俺の頬にチュッと音を立てて、優しいキスを落としてくる。 唇にしてくれるキスもすごい気持ち良くて好きで、ドキドキするけど、頬に与えられるキスも心地好くてもっとほしいと思った。 「久し振りに飛雄を抱きしめることが出来たんだよ。 ずっと離れてたんだ…… もう可愛いって言葉だけじゃあ足りないと思うんだけど」 「あっ……ぁ、ん……及川、さん!」 さっきまで笑っていた及川さんが突然真剣な瞳でこちらを見つめてきたかと思えば、その瞳には似合わない滑らかな動作で首へと唇を寄せてきて、 鎖骨から顎にかけてゆっくりと味わうように舌を這わせてくる。 そのくすぐったさと濡れる感触に、漏れ出る吐息を抑えられない。 「ンっ! は、ぁ、ぁ……ん、はぁ…あ……」 首への愛撫に気を取られていた隙に、下へと滑った手が裾から中へと撫でるように忍び込んできた。 「あっ、及川さん……!」 なんの前触れもなかったから驚き、慌ててその手を服の上から掴む。 「求めたくせに今更抵抗するんだ? お前はそれで我慢出来るの?」 「あ……及川さん……」 「出来るの?」 同じ質問…… 甘く優しくしてくれると思いきや、彼は意地悪だった。 我慢なんて、出来るわけない。 出来るわけないじゃないか…… 抵抗なんて言葉は存在しない そう伝えようと口を開こうとしたのに、及川さんがまた ねっとりと首筋へと舌を這わせて、俺の身体を快感の渦の中へと導く。 「ひゃっあ、ぅ……」 「我慢出来ないよね飛雄? 同じ気持ちなこと知ってるから……」 「う、んふ……あぁ……」 今もなお与えられる首への感触に震えながら俺は、掴んでいた手を離した。 「いい子だね飛雄」 停止していた手が動き始め、身体を優しく撫でながら上へと進み、服を捲り上げられた。

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